誰も調べたことがないような“せま~い歴史”=「バカせまい史」を研究発表するフジテレビ系バラエティ番組『私のバカせまい史』(毎週木曜21:00~)が、神奈川県の高校生たちに1つのミッションを課した――神奈川県在住高校生の視聴率100%を獲得せよ!

これは、高校生のキャリア教育の一環として行われたもので、課題解決についてグループディスカッションした上で、プレゼンテーションを実施。今回は、チーフプロデューサーの島本亮氏、企画・総合演出の加藤智章氏ら『私のバカせまい史』の実際のスタッフたちに向けて発表したが、果たして番組側をうならせるアイデアは出てきたのか――。

  • 参加者全員での記念撮影(上段)と(下段左から)『私のバカせまい史』研究長のバカリズム、進行の永島優美アナ=8月17日の放送より (C)フジテレビ

    参加者全員での記念撮影(上段)と(下段左から)『私のバカせまい史』研究長のバカリズム、進行の永島優美アナ=8月17日の放送より (C)フジテレビ

■忖度なしのプレゼン「テレビは編集がつまらない!」

8月某日、東京・台場のフジテレビにやってきたのは、相模女子大学高等部、神奈川県立元石川高校、私立函嶺白百合学園の生徒たち。各校2チーム、計6チームがプレゼンを行うが、番組が最優秀賞を決めるとあって、約2時間にわたるグループディスカッションは、さながら討論のように熱を帯び、休憩時間を惜しんでプレゼン練習に費やすチームがほとんどだった。

いざ本番のプレゼンがスタートすると、3分という制限時間の中で、番組スタッフを目の前にしても決して怯(ひる)まない高校生たち。学校Instagramで調査した『私のバカせまい史』の認知度が18%にとどまったことを報告したり、「私たちはこのオファーが来るまで、番組の存在すら知りませんでした」とぶっちゃけたり、YouTube派8割・テレビ派2割というアンケート結果を伝えた上で「テレビは編集がつまらない!」と提言するなど、忖度なしのプレゼンに、島本氏も「非常にグサッとくる素晴らしい意見でした」と感心する。

各チームから発表された解決策は、実にバラエティ豊かだ。「『令和の高校生史』という共通の話題をテーマにする」「神奈川県の学校をテーマにする」といった“バカせまい史”のネタ選びだけでなく、「ジャニーズの方が高校に潜入してどんなテーマを知りたいかをインタビューする」というテーマ設定の方法、「学校の授業に取り入れる」というコンテンツ活用、さらにはイベント展開、具体的な宣伝手法など、様々なアプローチからアイデアが出されていく。

プレゼンの形式も工夫が凝らされ、相模女子大学高等部は学園キャラクター「さがっぱ・ジョー」を指し棒的に使用。元石川高校のチームは、テーマパークのショーを思わせるような元気さとテンポ感を取り入れて「編集するところが1個もなくて素晴らしいです」(島本氏)と、見る者を引き付けた。

そんな本気のプレゼンを受け止める番組制作陣も、遠慮なしに本気で質問。「スタジオとロケの配分は?」「バラエティを学校で流してくれるためにどうしたらいいですかね?」「駅構内の広告はクリエイティブのハードルがあるんです」「ここはもう1アイデア欲しいですね」など、高校生相手に手加減なしで切り込んでいった。

■チーフP「課題を解決するカギを頂けた」

こうして熱いプレゼンバトルが繰り広げられ、いよいよ結果発表。最優秀賞に選ばれたのは、函嶺白百合学園の「胸キュンスカッと戻ってきて」チームだ。

同チームは、高校生がテレビよりSNSを中心に生活していることを説明した上で、『私のバカせまい史』公式Instagramを“公開添削”。「山の奥にある私たちの学校よりフォロワーが少ない」とツカミの笑いを取った上で、「#(ハッシュタグ)をもっと乱用したほうがいい」と指摘し、約600人(発表時)のフォロワーを「1年で1万人を超えることを目標にしたいと思います」と掲げる。

さらに、「Twitter(現・X)の投稿頻度はすごく多くていいので、さらに写真を多く載せてメリハリをつけたほうが、多く見られると思います。出演者の方に引用RTをお願いすることで、見てくれる方の幅が広がります」「TikTokはパッと見で内容が分かりにくかったり、“3・2・1…”の前置きの間にスクロールしちゃうので、もっと時間を短くしたり、サムネを分かりやすくしたり、芸人さんやアナウンサーさんのダンス動画を載せたり、番組の詳細をもっと入れたりしたほうがいいと思いました」と、他の公式SNSにも的確にダメ出ししていった。

そんなプレゼンに、加藤氏は「せっかくの機会なので、収録の観覧に来ていただいて、番組のSNS戦略会議にも参加してもらって、おじさんたちにシビアな意見を言っていただければ」と本気でスカウト。「本当に神奈川県の高校生視聴率100%とれるようにするのが、あなたたちの使命なので、優勝したからと言って浮かれてる場合じゃないです。『バカせまい史』を背負ってるんだという自覚を持って高校生活を送っていただければ(笑)」と発破をかけると、チームリーダーの生徒は「バリバリ厳しくやっていきたいと思います!」と、その熱意に応える意欲を示した。

また、島本氏は「皆さんがちゃんと理論立てて、要点を整理して、プレゼンの構成を考えてやれていることが、正直びっくりしました。今日のお題は、フジテレビの入社試験とか、インターンとかでも普通に出されるもので、僕らはその面接官もやってるんですけど、ほぼ同レベルで、研究しないで来ちゃう大学生と比べたら本当に素晴らしかったです」と、全チームを絶賛。

その上で、「今フジテレビは、皆さんの意見を欲しています。この後『バカせまい史』の会議があるんですけど、真っ先に“知名度がないと言われました”と報告してから、もう1回番組を見直していきたいと思います。皆さんのアイデアから、『バカせまい史』の課題を解決するカギを頂けたような貴重な時間でした」と感謝した。