大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)の第30回「新たなる覇者」が6日に放送され、織田信長(岡田准一)の妹・お市が最期を迎えた。お市を演じ切った北川景子にインタビューし、本作への参加がどんな経験になったのか話を聞いた。
第30回で、織田家の実権を握ろうとする羽柴秀吉(ムロツヨシ)の動きを苦々しく見ていたお市(北川)は柴田勝家(吉原光夫)との結婚を決意。秀吉と勝家の対立が深まり、「賤ヶ岳の戦い」で勝家が敗れて自害し、お市も勝家とともに自害した。
大河ドラマへの出演は、『西郷どん』(2018)以来5年ぶり2度目。出演が決まったときは不安や心配が大きかったという。
「『西郷どん』のときに、大河ドラマは本当に全国津々浦々の人が見ていて影響力のある作品なので、今回お話をいただいたときはプレッシャーも感じました。お市は人気のあるキャラクターですし、自分が演じると発表されたときにどういう評判になるのだろうという心配もありましたし、うまく演じ切ることができるか、始まる前は不安や心配が大きかったです」
だが、撮影が始まると前向きな気持ちで挑めたという。
「いざ皆さんと撮影を始めるとすごく楽しくて、放送が始まるといろんな方から反響をいただいて励みになりましたし、やってよかったなと思います」
また、「時代劇を絶滅させたくない」という思いを普段から持っていると言い、「ドラマでも映画でも、もっともっと時代劇が増えてほしいというか、途絶えてほしくないと思っているので、時代劇に関われてすごくうれしかったです」と喜んでいる。
そして、演じたお市について「思い入れの強い役になった」としみじみ。「お市は要所要所に出てきて、久しぶりに出てくると時間が10年くらい経っているという出方でしたが、撮影の分量よりも自分の中ですごく印象が強い役になりました」と語る。
お市のことは「自分に与えられた役割を常に考えて生きてきた人」と捉えて演じたという。
「強くて誇り高くて、信長に対する尊敬をすごく抱いていて、もし自分が男であれば信長のように戦に出たいと思っているような勇ましさがありながら、一方で女性として生まれてきたこともちゃんと理解していて、女性として織田家のために戦うということはどういうことなのか、自分にできることを常に考えながら生きてきた人。実家と嫁いだ先との間でどう立ち回るべきなのか頭を回転させ続け、どう自分の命を使うのかずっと考えている賢さを持った女性だと思って演じました。何よりも家系の存続を考えていて、結婚してほかの家との結びつきを強めることも織田家を大きくすることになる。女性も戦っていて、女には女の戦いがあるのだと思います」
また、普通の母親としての一面も感じたという。
「3人の娘の前では普通の母親でもあり、お市にも日常の幸せがほんのわずかの時間でもあったのではないかなと想像しながら演じていて、1人の女性の人生を演じる終えることができて今はほっとしています」
北川自身も1児の母。働きながら子供を育てるという点でお市と重なるところが多く、勇気をもらったという。
「お市は、こんなに立派に子供を3人育てながら自分の仕事もちゃんとして家のことも考えてすごいなと。自分も働きながら子育てができそうだなと勇気をもらうことが多かったです」
何事に対しても自分の意思をしっかり持って向き合う勇気ももらったと語る。
「お市はちゃんと自分の意思や世界観を持っていて、自分の意思で仕事も家族関係もやっていると感じられるところが共感してもらえるポイントだったと思います。私も自分らしくやることが大事だと演じながら思い、言いたいことを我慢しない、やりたいことも我慢しない、できることを精一杯やろうと、撮影するたびに勇気をもらいました」
そして、お市の影響で強くなれたか尋ねると、「もともと私自身も強いので、すごくいい感じでシンクロし、ますます強くなったかなと思います」と笑った。