――祢音は劇中でキューンや冴(小貫莉奈)/仮面ライダーロポといった周りの人物からかけられる言葉にとても力をもらっているキャラクターですね。
そうなんです。もちろん、英寿(簡秀吉)もですよ! 英寿の言葉で、祢音はあきらめずに立ち上がろうと思ったわけですから。祢音が大切にしている「私は私らしく」という言葉は、私にとっても大事なものになっています。祢音のキャラクターソング「Beat of My Life」にも「私は私らしく」という歌詞が登場します。人は誰しも他人の意見に流されてしまうこともあるとは思うんですけど、やっぱり自分を大切にしてほしいですし、芯がある人は素敵だなと思うので、私自身この言葉に救われている部分がありました。祢音のセリフにはたくさん素晴らしいものがありますが、私はこの言葉が一番大好きです。
――29話で存在の秘密が明かされ、そこから32話で世界が作り変えられ、34話で再びデザイアグランプリに参加する祢音ですが、記憶が戻ることでもっとも現状とギャップがあるのは祢音なのではないかと思います。
やっぱり混乱するところもあったとは思いますが、祢音は自身が二回目に参加したデザイアグランプリあたりから覚悟ができていたのではないかと思っています。自分がいま置かれた状況のなかでどうするべきか、ということをちゃんと理解して行動できる人だと思うので、記憶が戻ったあとも「私は何をすべきなのか」ということがわかっていたのではないかと思いながら演じていました。34話でもあれだけボロボロになっていながら、お父さんの代わりに参加することを志願していて、切り替えが上手だと思います。
――TVシリーズが終盤を迎えていますが、放送開始時に比べて自身の成長したところ、考え方などが変わったところは?
仮面ライダーの撮影は特殊な現場なんです。一つのお仕事の中で、お芝居とアクション、それからアフレコとグリーンバックでのお芝居、こうした複数のものが一緒になった撮影は仮面ライダーやスーパー戦隊のような特撮作品でしか体験できないと思います。それに加えて、自分自身の役と一年以上にわたって向き合えるということも貴重な機会だと思うので、そうした環境にいるというのがとても大きなことだと思います。
なかでもアフレコは、最初のうちはまったくわからないことばかりで、戦いのシーンの言葉など、普段使わない言葉が多いので難しいと感じていました。当初はそこに戸惑うこともありましたが、中盤くらいからは「祢音であればこんな時、きっとこんな言葉を発するんじゃないか」ということを考えられるようになりました。そのときから、役とちゃんと向き合うことができているなと感じるようになりました。
――アクション面での成長は?
本当に幼稚園くらいのころから外が苦手なんです(笑)。みんながグラウンドで遊んでいるときでもずっと教室にいるような生徒でした。だからアクションは、カメラに対してこう見せたらかっこよくなる、という理屈がわかってはいてもなかなかうまくいかなくて難しいことが多かったんです。どちらかというと物を使った殺陣のほうが私はやりやすくて、アクション監督の藤田慧さんや、ナーゴ役の宮澤雪さんから「すごくよかったよ!」とほめていただいたこともあり、そこは成長したかなと思っています。
――映画では、祢音はまた違った姿を見せているそうですね。
大正時代の上品な令嬢という感じです。TVシリーズでも祢音はネイルに至るまで細かく見た目にこだわりがあるのですが、今回はまたいつもと違った装いで、新鮮な気持ちで撮影を楽しむことができました。でも、袴なのでかなりきついんです。撮影となると長時間になるので、いつもより姿勢はビシっと、それで腰が痛くなりながらも、楽しみながら撮影していました。
――映画での英寿はいつもとちょっと違う感じなんですね。
いつもはみんなを引っ張っているイメージの英寿ですが、映画では逆にみんなに引っ張られています。むしろ、ちょっと足手まといになっているかもしれません(笑)。だからこそ新鮮で、英寿を引っ張る立場になったことでみんなの違う一面が垣間見えます。それこそ掛け合いも、いつもは英寿がかけているような言葉を私たちが英寿にかけていく場面もあり、映画ならではの見どころになっているかと思います。
――冴との再びの共演もアツいポイントですね。
実は、TVシリーズの冴が脱落するシーンは本当に莉奈ちゃんの撮影最終日だったんです。青島心ちゃん(ツムリ)との共演シーンもすごく少なくなって男性陣との撮影ばかりでしたし、莉奈ちゃんは本当にお姉ちゃんのように接してくれていたので、あの時は本当に悲しかったんです。だから、映画の台本で名前を見つけたときは本当にうれしかったです。
――あらためて、映画の見どころを教えてください。
この作品を見ると、喜怒哀楽を体感できると思うんです。コメディーの要素はもちろんあるんですけど、クライマックスにかけては盛り上がりとともに感動があります。前半は面白いだけじゃなくて、「こんなの英寿じゃない!」という英寿が4人も出てくるので、果たして英寿はいつものかっこいい英寿に戻れるのか、仮面ライダーX(クロス)ギーツとはどうなるのか期待して見てほしいです。TVシリーズはシリアスなお話が続いていますが、映画は打って変わって楽しい作品になっています。夏休みに家族や友達と観てくれたらうれしいです。
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