仮面ライダーギーツ』の物語がいよいよクライマックスを迎えようとする中、44話「創世VI:ネオン、かがやく」で本作のヒロインのひとり・鞍馬祢音/仮面ライダーナーゴの物語がひとつの結末を迎えた。

  • 『仮面ライダーギーツ』で鞍馬祢音/仮面ライダーナーゴを演じる星乃夢奈

    鞍馬祢音/仮面ライダーナーゴを演じる星乃夢奈 撮影:大門徹

勝者となった者に理想の世界をかなえられる権利が与えられる「デザイアグランプリ」で、「本物の愛がほしい」という願望をかなえるために参加してきた祢音。恵まれた環境に育ち、人が羨むものすべてを手にしているかに見える彼女の願望は、ほかの参加者に比べてややシリアスさに欠けている印象があったが、29話「慟哭V:サプライズ!闘牛ゲーム」で彼女の出自にかかわる秘密が明かされてからは、彼女の求める愛がより存在にかかわる、重要な意味をもつようになった。

そして44話で、ついに祢音は本物の愛を手に入れる。今回のインタビューでは、祢音を演じた星乃夢奈に、祢音の願いの結末の裏でどのようなことを思いながら演じてきたのか、そして公開中の映画『仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐』の見どころについても語ってもらった。

――祢音はついに44話でデザイアグランプリで勝ち取るのとは別の形で「本物の愛」を手に入れることができました。この結末についてはどう思われましたか?

「本物の愛がほしい」と43話まで願い続けた彼女が、本物の愛は求めるものではなく、愛を与えることで、そこに愛が生まれて、愛に触れることができるという結末にしたかったというお話は聞いていました。実は、3・4話の本打ち合わせの際に武部直美プロデューサーが「祢音は本物の愛を探しているけれど、その愛は“幸せの青い鳥”だよね」とおっしゃっていたそうなんです。童話『青い鳥』(モーリス・メーテルリンク)は、幸福の象徴である「青い鳥」を探すためにいろんな場所を訪れるけれども、実は身近な手の届く距離のところにいた……というお話ですよね。祢音も、お父さん(光聖/仮面ライダーギャーゴ)に守られ、お母さん(伊瑠美)の思いを知ることを通して、本物の愛はもらうことではなく、あげることで見つけられるものなんだということにようやく気付くことができました。

  • 『仮面ライダーギーツ』で鞍馬祢音/仮面ライダーナーゴを演じる星乃夢奈

――44話の変身シーンでは、いつもと違う変身ポーズも印象的でした。

お父さんから受け継いだ大切なIDコアだったので、エピソードを担当した杉原輝昭監督と、シリアスなシーンでさすがにニャンは難しいよねって話をしていたんです。私のちょっと前のメイン回29・30話で、自分が存在しないとわかったエピソードのところでも、いつもと違う決意を込めた変身をしたんですけど、44話でもなにか新しいポーズがあってもいいかもしれないと相談していたんです。

実は、ナーゴに新フォームはもう来ないと思っていたんです。ビートフォームで最後だと思っていたので、それだけに新フォーム「ファンタジーフォーム」の登場はうれしかったです。ビートフォームもかっこよくて好きなんですけど、ファンタジーフォームはゴールドも使われてセレブ感がプラスされていて、とても気に入っています。

  • 『仮面ライダーギーツ』で鞍馬祢音/仮面ライダーナーゴを演じる星乃夢奈

――43・44話を含めて、祢音の印象的な回は杉原監督が多いですね。

まさにそうで、鞍馬家のシーンや祢音にとって大切なシーンは、スギさんの回が多かった気がします。スギさんは役者にとても丁寧に向き合ってくれる監督なんです。私にとっても印象的だった30話のキューン(水江建太)とのシーンは、台本の読み合わせでも特にこうしてほしいという指示はなく、「成長してるって信じてるから」と背中を押してくれるような言葉をかけてくださったことがとても記憶に残っています。お芝居でのすれ違いが監督とはほとんどないので、スムーズに撮影が進むことが多いイメージです。