本気を出さない方がウケるとわかり、全力を出すことをやめたケンコバ。それ以来、究極の笑いを追求しようという思いはないという。

「そんなことしたら仕事なくなりますから(笑)。だから全開にアクセル踏むことはないし、本気を出すことは30年前に捨てました」

それでも“お笑い”は大好きであり、芸人という仕事についていることには大きな感謝があるという。“お笑い”に対して非常にピュアである。

「この世界にいられてよかったなと思っています。この3年間、コロナ禍でお客さんがいなかったじゃないですか。でも僕は若手というカテゴリーにいたとき、客が全然入っていない劇場の方がやっていて楽しかったんです。純度が高いんですよね。だんだんファンができると、無垢じゃなくなるんです。簡単に言うと、客と交際できるのではないかとか、そういうことを考え出すヤツが出てくる」

お客さんがいないこと=純度が高いという考え。だからこそ、コロナ禍での観客のいないライブも楽しめたという。

「本気を出すことを捨てた」というケンコバだが、その結果生み出した笑いが支持され、芸人としての地位を確立した。そんな今だからこそ、また自身が「アクセル全開」で提示する“お笑い”に挑んでもいいのでは――と思うが、「そんな恥知らずなことはできません。僕は30年前に捨てると決めたんだから。でもそれはウケないのが嫌なのでない。僕は自分が面白いと思ってやったことが全くウケなくても何のダメージもないので」と言い切っていた。

■ケンドーコバヤシ
1972年7月4日生まれ、大阪府出身。1992年に大阪NSCに11期生として入学。1993年にデビュー。コンビでの活動を経て2000年にピン芸人としての活動を開始。『にけつッ!!』(読売テレビ・日本テレビ系)をはじめとする数々のバラエティ番組で活躍している。また、俳優として映画『パッチギ!』(2005)やドラマ『BOSS』シリーズなどにも出演している。
■ケンドーコバヤシ主催「地獄寄席LEVELII」
【日時】8月17日18:30開場/19:00開演 【会場】座・高円寺2 【チケット】前売5000円/当日5500円 ※配信チケット2000円も販売(配信チケットの販売は8月10日~19日12:00、見逃し視聴8月19日19:00まで)