一般的なノートPCと比べると処理能力は低め
dynabook K1/VのCPUには、Gemini Lake Refresh世代の「Celeron N4020」を搭載している。
登場したのは2019年第四半期と時間が経っているだけでなく、内部のアーキテクチャとしても14nmプロセスルールで2017年12月にAtom向けとして登場したGoldmont Plusの採用となる。加えて、同時期に登場した省電力CPUのラインアップの中でも最も下位に位置するモデルだった。
Celeron N4020はCPUコアを2基組み込んでいる。このコアはマルチスレッドに対応していないためCeleron N4020として同時処理できるスレッドの数も2本までだ。TDPは6W。グラフィックス処理にはCPU統合のIntel UHD Graphics 600を利用し、演算ユニットは12基で動作クロックは650MHz。
その他の処理能力に影響するシステム構成を見ていくと、試用機のシステムメモリはLPDDR4-2400を採用していた。容量は4GBで、ユーザーによる増設はできない。ストレージは容量128GBのフラッシュメモリだ。
Celeron N4020を搭載したdynabook K1/Vの処理能力を検証するため、ベンチマークテストのPCMark 10、3DMark Night Raid、CINEBENCH R23、CrystalDiskMark 8.0.4 x64、そしてファイナルファンタジー XIV:漆黒のヴィランズを実施した。
主な仕様 | dynabook K1/V |
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CPU | Celeron N4020 |
メモリ | 4GB(LPDDR4-2400) |
ストレージ フラッシュメモリ | 128GB |
光学ドライブ | なし |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 600(CPU統合) |
ディスプレイ | 10.1型 (1,280×800ドット)非光沢 |
ネットワーク | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 5.1 |
サイズ / 重量 | W249.0×D186.7×H18.7mm / 約1.18kg(0.61kg:タブレットスタイル) |
OS | Windows 11 Pro 64bit |
ベンチマークテスト | dynabook K1/V |
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PCMark 10 | 1099 |
PCMark 10 Essential | 2762 |
PCMark 10 Productivity | 1947 |
PCMark 10 Digital Content Creation | 670 |
CINEBENCH R23 CPU | 620 |
CINEBENCH R23 CPU(single) | 405 |
CrystalDiskMark 8.0.4 x64 Seq1M Q8T1 Read | 299.85 |
CrystalDiskMark 8.0.4 x64 Seq1M Q8T1 Write | 121.46 |
3DMark Night Raid | 1158 |
FFXIV:暁月のフィナーレ | 標準品質(ノートPC)761 |
ベンチマークテストを走らせてそのスコアを並べてみたものの、その値は、近年のレビュー記事で掲載しているCoreプロセッサやRyzenプロセッサを搭載したPCのスコアと“別次元”といっていいほど大きく異なる。PCMark 10でいうと全項目でほぼ5分の1、3DMark Night Raidで約15分の1程度だ。Webページの表示や挙動も明らかに重いし、1,280×800ドットという解像度は複数のWebページを開くには狭い。
個人のメインPCとして市販の汎用WindowsアプリやPCゲームを実用的な速度で動かすには、アプリの表示関連設定を軽くなる方向でカスタマイズする必要があるだろう。
家庭用の学習支援に、向き不向きを理解した上で検討したい
ここまで、dynabook K1/Vの使い勝手と処理能力について“日常使いのPCと同じ目線”で評価してみた。製品の開発意図からすれば、ある意味アンフェアとは思うが、2023年の上半期に登場するPCに求められる一般的な使い方は向かず、用途を割り切る必要がある。
汎用アプリの処理速度は、特にファイル関連処理で時間がかかり画面は狭い。日本語入力の漢字変換で体感でわかるほど待たされるときもある。ビジュアル効果満載の最新PCゲームを実用的な速度でプレイすることも向かない(教育用PCとしてはかえって望ましい、と思ってしまう大人がいるかもしれないが)。
一方で、教育現場における学習支援機器として使用し、かつ、その目的とdynabook K1/Vの能力を考慮して用意された専用のアプリケーション(それは、dynabook K1/Vの限られた処理能力と解像度でも実用的なこと)を使うのであれば問題とはならないはずだ。
子どもの利用を前提とした頑丈さも特徴で、100kgf面加圧試験・76cm落下試験・30cc防滴試験といった耐久試験をクリアしている。制約を理解した上でdynabook K1/Vを使うならば、有力な“教材”(または家庭用バックアップ)となるだろう。
dynabook K1/Vを導入する学校の先生(もしくは管轄自治体の教育委員会)や親御さんには、dynabook K1/Vで使えるアプリやWebページを用意した上で、授業や家庭学習で有意義に使ってもらいたいと切に願う次第だ。