■移動中のサービスエリアや道の駅が楽しみ

――川口さんも出演された連続テレビ小説『舞いあがれ!』(22~23年、NHK)では五島列島が舞台になりましたが、もし川口さんが五島列島を舞台にしたドラマを考えるなら、どんな映像を盛り込みますか。

ロケーションがすごく綺麗なところなので、やはり豊かな自然を撮りたいです。今作で、田舎ならではの人付き合いの距離感が面白いと思ったので、人間関係というテーマもマッチする気がします。あとは美味しいお料理で街をアピールしたいですよね。お肉もありますが、海が綺麗なのでやっぱり海鮮。お魚やお刺身を盛り込みたいです。

――暑い中で日々撮影されていると思いますが、夏を乗り切るためにロケに持っていくものや、食べているものがあれば教えてください。

ロケでいろいろな場所に行っているので、虫よけを持って行くようにしています。ロケ地がすごく遠いので、移動の途中でサービスエリアや道の駅に寄ることがあるのですが、そこで食べ物を調達するのがいつもの楽しみです。これからもっと暑くなりそうなので、体調だけは気をつけようと思っています。

■3年ぶりに海外へ「待ち望んでいた時が来た」

――ここからは、川口さん自身についてもお尋ねします。今作が放送される7月から下半期に突入しましたが、上半期を振り返っていかがでしたか。印象に残っているトピックスがあれば教えてください。

いや、早いですね。毎年、時の流れをより早く感じるようになっていますが、充実した上半期を過ごすことができました。海外とか遠くに少しずつ行けるようになったことがうれしいですし、実際にそういった機会も増えてきているので、本当に良かったなと思っています。

――特に印象に残っている場所は。

3年くらいぶりに海外へ行けました。スペインとモロッコに行ったのですが、ヨーロッパは行ってみたかった場所ですし、モロッコも気になっていたので、本当に待ち望んでいた時が来たなと。すごく開放感がありました。これまで当たり前のように行っていたけど、そうじゃなくなったからこそ、いつもよりもいろいろなことを感じながら楽しめました。

■エランドール賞や『silent』での受賞に感謝

――2023年になってからも橋田賞やAMD理事賞など、『silent』(22年、フジテレビ)の受賞が続いています。社会現象を巻き起こしたドラマとなりましたが、川口さんの女優人生にとって『silent』はどんな存在ですか。

たくさんの方に見ていただけて、評価していただけた作品になって純粋にうれしいです。自分自身も勉強になることが多い現場だったので、出会いに感謝ですね。普段は連ドラのお仕事をしていないチームの方とご一緒できたことで、違った撮影スタイルで斬新な世界観を描くことができて、新しい発見の多い現場でした。

――2022年にはエランドール賞新人賞もあり、受賞が続いています。現在地への思いを教えてください。

撮影の現場はいつも本当に大変ですし、現場や編集される方、何十人何百人というスタッフさんが1つの作品に携わっていて、そんな方々に支えられながら評価していただけるのはとても有り難いことです。よりしっかりと自分の役割に向き合っていかなければいけないという気持ちにさせてくれます。

――そんな中でも「頑張ったな」と自分を褒めてあげたい瞬間はありますか。

以前から準備していたものをやっと皆さんに見ていただける、放送が始まる瞬間や、それがすべて終わって達成感を得られる瞬間です。終わったときには、自分だけではなく「本当に皆お疲れ様! 皆頑張ったよね」と、どの現場でもどの作品でも言いたくなります。

――では最後に、視聴者の方へメッセージをお願いします。

恋愛要素など、原作にはないオリジナルの部分も盛り込まれるので、原作を読んでいる方もそうじゃない方も楽しんでいただけると思います。登場人物は読めないような人たちばかりですし、最後まで飽きずにワクワクして見ていただける展開が続きます。ミステリーや田舎で起こる人間関係の怖さ、人と人との繋がりの大切さに注目していただきつつ、のどかでめちゃくちゃ綺麗なロケーションにも癒やされていただければうれしいです。

■川口春奈
1995年2月10日生まれ、長崎県出身。雑誌『ニコラ』のモデルとして活躍後、2009年に女優デビューし、ドラマ、映画、CMと幅広く活躍。2020年には公式YouTubeチャンネル『はーちゃんねる』を開設した。2021年『第72回NHK紅白歌合戦』で司会を担当。2022年、エランドール賞新人賞を受賞した。近年の主な出演作に、ドラマは日本テレビ『極主夫道』(20)、フジテレビ『教場』(20)、『教場II』(21)、『silent』(22)、TBS『着飾る恋には理由があって』(21)、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(20)、連続テレビ小説『ちむどんどん』(22)、映画は『聖地X』(21)、『極主夫道 ザ・シネマ』(22)など。アニメ映画『マイ・エレメント』(8月4日公開予定)で声優初挑戦を果たす。