レイトレーシング対応など重めのゲームを試す
まずは、DLSSやFSRといったアップスケーラーを備えておらず、レイトレーシングに対応したゲームとして「エルデンリング」を実行してみよう。リムグレイブ周辺の一定コースを移動した際のフレームレートを「FrameView」で測定した。
このゲームは最大60fpsだが、レイトレーシングを有効にするとさすがに描画負荷は重く、RTX 4060 TiのフルHDで平均56fpsとなんとか快適にプレイできるレベル。アップスケーラーを使わずレイトレーシングを描画させるのは、フルHDターゲットのGPUには少々厳しいと言える。その一方で、レイトレーシングをオフにすれば、最高画質設定でどちらのGPUでも平均60fpsに到達が可能だ。レイトレーシングさえ使わなければ、エルデンリングはWQHD解像度でも余裕で楽しめる。なお、このゲームでもRTX 4060 Tiの消費電力の少なさが目立つ。
続いて、アップスケーラーとして「FSR 2」だけに対応する「STAR WARS ジェダイ:サバイバー」を試そう。画質のプリセットは最上位のエピック、レイトレーシングは有効にし、FSR 2は品質に設定した。ゲーム開始直後のシーンを約60秒移動した際のフレームレートを「FrameView」で測定した。
アップスケーラーを使ってもレイトレーシングを有効にすると描画負荷は重い。それでも基本性能で上回るRTX 4060 TiはWQHDまで平均60fpsをクリア。RX 7600はフルHDで平均59fpsと十分プレイできるフレームレートだが、ギリギリ60fpsには届かなかった。
最後は、RTX 40シリーズの大きな強みである「DLSS 3」に対応するゲームを試そう。DLSS 3は従来のアップスケール機能(DLSS Super Resolution)に加えて、AIによるフレーム生成(DLSS Frame Generation)を加えて、よりフレームレートを高められるようになったもの。RTX 40シリーズだけで使える機能であり、RTX 30シリーズ以下はもちろん、Radeonシリーズも非対応だ(従来のDLSSもRadeonシリーズでは使えないが)。ちなみに、AMD開発のアップスケーラー「FSR」はGPUを問わずに使える。
ゲームは、「F1 22」、「Microsoft Flight Simulator」、「サイバーパンク2077」を用意した。これら3本はDLSS 3に加えて、FSRにも対応している。そのため、RTX 4070 TiはDLSS、RT 7600はFSRを有効にしてテストを行った。
F1 22は画質、レイトレーシングとも最高の「超高」に設定、ゲーム内のベンチマーク機能(バーレーン&晴天に設定)を実行中のフレームレート、Microsoft Flight Simulatorはアクティビティの着陸チャレンジから「シドニー」を選び、60秒フライトしたときのフレームレート、サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を実行中フレームレートをそれぞれ「FrameView」で測定している。
DLSS 3によるフレームレート向上の威力がよく分かる結果だ。Apex Legendsやオーバーウォッチ2では、RTX 4070 TiはRX 7600に対して約1.2倍程度フレームレートが上と圧倒的な差にはなっていない。しかし、フルHDで見るとF1 22では約1.5倍、Microsoft Flight Simulatorでは約1.9倍、サイバーパンク2077に至っては約2.8倍も上回るようになる。遊びたいゲームがDLSSに対応しているなら、RTX 4070 Tiを選んだ方がよいだろう。
性能と省電力のRTX 4060 Ti、コスパのRX 7600
RTX 4060 Tiの魅力はフルHDなら重量級のゲームも遊べるだけの基本性能があり、フレームレートを伸ばせるDLSS 3に対応し、低消費電力である点だろう。ただ、実売で6万円前後からとフルHDをターゲットにしたGPUと考えた場合、価格はどうしても高く感じてしまう。その一方で、RTX 4060 Tiよりも2割程度性能は落ちる(DLSS 3を除く)が、4万3,000円前後から導入できるRX 7600はコストパフォーマンスは良好だ。導入のハードルも低く、フルHD解像度ならサイバーパンク2077のレイトレーシング有効時のような強烈に描画負荷の高いゲームではない限り、快適にプレイできるパワーはある。一長一短があるだけに、今回のテスト結果が購入の参考になれば幸いだ。