■夫婦円満の秘訣とは
プライベートでは三度の離婚、そして四度の結婚。今の奥さまは、二度目に結婚と離婚を経験した、再婚相手。約25年前に「劇団扉座」の劇団員と研究生として出会った二人だが、本の中で奥さまは、六角さんのことを「とにかく話していて面白い」「小学生みたいに無邪気で可愛い」と言う。
「僕から見たら、奥さんは中学生みたいで可愛いですよ(笑)。あんまり感情を出さないし、言葉も多くない。どういうことを考えているか、分かりにくいんですよ。非常に奥ゆかしい人なんでしょうね。世の中ではそういう人が損をしがちだけど、何年かちゃんと付き合ったり一緒に暮らしてみると、良さが分かってくるんです。
そういう人と結婚して、思いを知り得たことは僕としてはうれしい。長く付き合ってこそ素晴らしさが分かる人なんですよね」
恥ずかしがることなく、淡々と奥さまのことを話す姿が素敵だった。離婚を経て再婚した六角さんだからこそ考える、夫婦円満の秘訣とは?
「お互いに気を遣うことと、あんまり相手に多くを望まないことですね。夫婦といえども他人だから、自分の思うことだけを主張してはいけないし、主張しすぎないのもいけない。別の人間が生活しているってことを頭の中に入れながら過ごしてます。相手のいいところと悪いところを知っていき、差し引きした時に、少しでもプラスが残る関係だったら、それでいいんじゃないかな。
プラスばっかり残るっていうのは、人間としてあり得ないと思うしどこか無理がある。最終的にプラスがほんのちょっとっていうのが理想。すごいプラスなんだったら、相手が我慢している可能性もあるからね」
■展望なんてものはない
これから先の俳優人生についても尋ねてみた。
「展望なんてものはないです。これをしないかと誘われて、自分ができそうなものだったらできる限りやりたいとは思ってるくらい。あとは、大好きな音楽かな。ちょっとずつ音楽活動を全国展開できたらいいなって。地方のライブハウスを回ったりできたらうれしいですね。
これから先、何かを望んだりとかっていうこともない。この本だって、『出しませんか? 読みたいと思う人はきっといます』って言われたから、じゃあ出してみようかって思ったんだもの(笑)」
飾ることなく、等身大の言葉で答えてくれる六角さんから、最後に読者へ向けてメッセージをもらった。
「一生懸命に働いてらっしゃる方は、今以上にリラックスできる時間をとってください。自分を楽に置ける時間を今以上に見つけられたら、よりしぶとく生きられるんじゃないかなって思うから。僕の場合は、ギャンブルとお酒と旅。いろんなリラックスがあるんですよ。
僕は歳をとるのがけっこう楽しみだけど、嫌だっていう人も多いかもしれない。自分なりの楽しく生きる方法を見つけていけば面白くなるだろうし、死ぬのも怖くなくなるんじゃないですかね。まぁ、分かんないですけど(笑)」
六角精児の無理しない生き方(1,430円/主婦の友社)
(撮影/曳野 若菜)