連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~※土曜は1週間の振り返りほか)で、神木隆之介演じる主人公・槙野万太郎の恋敵として、浜辺美波演じる寿恵子に猛アタックしていく高藤雅修役を熱演している伊礼彼方。朝ドラ初出演ながらもしっかりと爪痕を残した伊礼が、お気に入りの台詞について語ってくれた。

  • 『らんまん』高藤雅修役の伊礼彼方

高知県出身の植物学者・牧野富太郎をモデルにした本作では、幕末から明治、大正、昭和と激動の時代に、植物を愛し、その研究に情熱を注いでいく槙野万太郎とその妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く。

元薩摩藩士の実業家である高藤役を演じるにあたり、伊礼は男くさい薩摩の方言もマスターし、力強い九州男子になりきった。ミュージカル俳優ということで、寿恵子と踊る社交ダンスのシーンでは、堂に入った存在感を発揮しているが、伊礼自身も「舞台での経験が役立っているかなと思っています」と手応えを明かす。

「まず、立ち姿もそうですし、ダンスシーンでも、舞台で過去にやっていなかったら、地に足がついたようなああいう表現はできなかったかなとも思っています。僕は普段から舞台で、貴族役や女ったらしの役、すなわち女性とスキンシップをする役が多いので、そこもやらしくなく、女性の手を取る仕草も自然に見えているんじゃないかなと」と自信を覗かせる。

とても紳士的な男だが、寿恵子の気持ちはお構いなしに、ガツガツと猛烈にアプローチをしていく高藤。好きな台詞について、第50回で放送された寿恵子と初めてダンスを踊るシーンでの「発足式が楽しみじゃ。早う、あなたと私を見せつけたか」を挙げる。

「とても傲慢な台詞で、自信満々に『見せつけたか』というところがものすごく好きです。最初は笑ってしまいましたが、台本を何度も何度も読んで『いや、本気なんだろうな、この人』と思いました」と楽しそうに笑う。

また、同じように、いかにも自信家の高藤らしさが光るから大好きだという台詞について、第51回での台詞もピックアップ。これは、寿恵子と会食中に「私の方こそ、本音を隠すことに必死です。本当は今すぐさらってしまいたか。じゃっどん発足式が終わるまでおあずけですから」と言う、まさに下心全開の台詞だ。

「この『本当は今すぐさらってしまいたか』という一言が僕は大好きです。まあ、どんだけ! って感じで、すごいなと(笑)。この2つの言葉が、最初に高藤というキャラクターを形づけるヒントをくださいました。すごい台詞ですが、そこには彼の真髄や本音があって。そこをどう上手く隠しながら進めていこうかと、そこから逆算して役を作っていった記憶があります」