――三石さんにとって、メレディスと共に歩んだ18年はどんな時間でしたか?
まさに「進んだ先に色々な出会いがある」というか。その繰り返しでしたね。今シーズンで一区切りつくという点については、もちろん寂しい気持ちもありますが、自分の役目は果たせたかな、という充実感も味わいつつ。劇中のメレディスの言葉を借りるとするなら、「私の人生はまだ終わってない」「太陽が昇る限り、龍は現れる」と。これから先の彼女の人生が楽しみになるような面白い言葉で締めくくられているので、ぜひ注目していただけたらと思います。それこそこのドラマには旧メンバーもひょっこり顔を出すので、何かの折にはメレディスも出てきちゃうんじゃないかなって思っているんですけど(笑)。
――連続ドラマ『リコカツ』や『Get Ready!』などに続いて、来年は念願の大河ドラマ『光る君へ』にもご出演されるなど、声優業のみならずドラマにもご活躍の幅を広げていらっしゃいますが、「常に新しい挑戦をしていたい」という気持ちの現れなのでしょうか。
私のなかには「芸は磨かないとどんどん錆びついてしまう」という危機感が常にあって。「もっと上手になりたい」「そのためにはどうしたらいいんだろう?」「上手にならないと、お仕事がこなくなる」というのが正直なところです。私は、天才的な何かが自分にあるとは全く思えていなくて。常に何かを学んでいないと自分が安心できないというだけなんです。
――果てしない向上心ですね。三石さんのなかでは「ここまできた」という達成感よりも、「もっともっと、頑張らないと」というお気持ちの方が強いのですか?
もちろん作品ごとに充足感を感じてはいるのですが、いまでも全く安心はできていません。根底のところには、どこか昔のままの、自信のない自分もずっと存在しているんですよ。でも、自信がないからこそ、常に何かを探し求めて前を向けているのかもしれないですね。
――今年4月に発売されたばかりの三石さんの著書『ことのは』(主婦の友社刊)も拝読しましたが、長らく第一線でお仕事をされてきたなかで、「メレディスのように、三石さんも強い意志を持って自分の人生を選んでこられたんだ」と感じました。
ありがとうございます。どうなんでしょうね(笑)。強い意志というか、その場その場で「辛いんだったら違う道もあるのかもしれない」「愛されていないんだったら、愛される場所にいこう」「愛されないところにいるのは、時間がもったいない」と思いながら、動いてきたところはあるのかもしれません。本作にも「動くには痛みを伴う」といったようなセリフが出てきますが、人生も手術と同じで、悪い部分を取り除くときは痛みを伴うけれど、またリハビリをして新しい環境に慣れていく。そういう期間というのは、思い返せば私にも必ずありました。とはいえ実際はそれほど前向きに自分の人生をガンガン進んできたわけではなくて……(苦笑)。でもまぁ、周りの人には自分がそういう風に見えているのなら、それはそれで別にいいか、と(笑)。
――『美少女戦士セーラームーン』の放送開始直後に大きな病気でお休みされた時に感じた悔しさが、その後、三石さんが何かを選択する際の主軸になっているとも言えますか?
そうですね。あれは私にとってものすごく大きな出来事でしたね。もしかしたらあのとき命を落としていたかもしれない……と思うと……その後も、人生が続いて本当によかった(笑)。
――長く続けるために、三石さんが心掛けてこられたことは?
「役を任された」という責任を果たすためであれば、努力したり、勉強したり、鍛錬したりすることはできるんですよ。それが私の原動力ですね。「自分のために」と思うとどうしても自分がやった役を自分のものにしたくなったり、時にはひけらかしたくなったりすることもあると思うのですが、与えられた役目をきちんと果たすだけでいいということを念頭に置いてさえいれば、きっとその先にまた新たな出会いがあると私は思っていて……。実は、遠回りなようでいて、それが一番の近道なのかもしれないです。……って私、仕事に関しては真面目なの(苦笑)。だからその分、プライベートではゆっくり怠けたいですね。
――責任を果たすというプレッシャーの中で、ちょっとは息を抜く時間も必要ですよね。
そうです。ちゃんと緩急を作らないと、また病気になっちゃうしなぁ……と思って(笑)。
――三石さんのその生真面目さや責任感の強さは、本作のメレディスにも重なる気がします。自分の人生のことだけを考えていたら、きっと彼女も違う選択をしていた気がするので。素敵なお話をありがとうございました!