アイドルグループ・アンジュルムの元メンバーで、今は舞台を中心に女優、ソロ歌手として活動している田村芽実。連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~※土曜は1週間の振り返りほか)では、神木隆之介演じる主人公・槙野万太郎が修行をする大畑印刷所のひとり娘・大畑佳代役を演じている。朝ドラ初出演に大喜びしたという田村が、現場での撮影秘話や、今回の現場を経て見えてきた女優としての目標を語ってくれた。

  • 『らんまん』大畑佳代役の田村芽実

高知県出身の植物学者・牧野富太郎をモデルにした本作では、幕末から明治、大正、昭和と激動の時代に、植物を愛し、その研究に情熱を注いでいく槙野万太郎とその妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く。田村が演じているのは、万太郎が見習いとして働くことになった大畑印刷所のひとり娘・大畑佳代役だ。

もともと朝ドラをよく見ていたという田村は、『らんまん』への出演が決まった時に驚嘆したそうだ。

「朝ドラはだいたい見ていて、学校に行って見られない時期も録画して家族で見ていたくらいです。やはり朝ドラは日本で一番有名なドラマだと私は思っているので、今回の出演が決まった時は、うれしいというよりも、本当にびっくりしました。駅のホームで、マネージャーさんからそのことを聞いた時、私が『ハイタッチしよう』と言って、2人で大きくハイタッチをしました」

朝ドラの思い出については「視聴者側の朝ドラデビューは、確か『てるてる家族』で、『天花』もすごく小さい時に見ていたと思います。家族みんなでどっぷりハマったのが、宮崎あおい(崎はたつさきが正式表記)さん主演の『純情きらり』で、家族で旅行に行く時も車の中で一緒に見て、号泣していました。朝ドラは家族みんなで触れてきたので、今回その一員になれたのは、まだ夢のようなところがあります」と喜びをかみしめる。

歯に衣着せぬ江戸っ子である佳代。第48回で初登場した際には、印刷所で必死に働く万太郎に、初対面で放った言葉は「汚い」「汗くさい」だった。

「私は先のほうまで台本をいただいていたので、その後との落差をできるだけつけようと思いました。また、『大畑家はとにかくワイワイガチャガチャやってほしい』みたいな演出をしていただいたので、できるだけそれに乗ろうとしました。だから『汚い』と言う時は、心の底からか、腹のなかから一番思う『汚い』をその時々で言っていたと思います」と振り切って演じたことを明かす。

「現場は実際に臭くはないのですが、万太郎さんに限らず、印刷所の男性の方々は体中に汗をかいているようでしたし、印刷所のセットもとても緻密だったので、見た目から感じ取れる男臭さや、本当に汗水垂らして働いている様子がとても感じ取れました。だから、私が一生懸命作り込んで演じたというよりは、その場で心のままに出てきた言葉です」

佳代との共通点については「私もかなりせかせかと生きている人間なので、せっかちな人間を演じることに全く苦はなくて、自分に合っているなと思いました。でも、佳代ちゃんはとても素直で、好きなものに真っ直ぐだし、逆に受けつけないものには『NO』とはっきり言えたりするのですが、それはやはり男社会で育ったからこそのものかなと。私にも素直な部分はありますが、天邪鬼な部分が強いので、佳代ちゃんみたいに、もうちょっと素直に生きていけたらいいなと思いましたし、役から学んだことがたくさんありました」と言う。

主演の神木については「撮影中だけではなく休憩中もずっとお話をされていて、すごく元気です。誰よりも長い時間撮影されていて、誰よりも台本を覚える量もすごいはずなのに、現場を一番盛り上げていらっしゃるのがずっと神木さんで、素晴らしい方だなと思いました」と心から座長ぶりを称える。

また、「私はけっこう感情の起伏が激しい役ですし、しかも今回『はじめまして』でお芝居をするので、お互いにどう来るのかわからなかったですが、神木さんはそのすべてを受けてくださいます。私がどんなお芝居をしても、大きな器で受けてくださるというのが印象的でした」と共演の感想を述べ、「神木さんは、元々テレビで拝見していましたが、一緒にお芝居をしていても、すごい方だなと思いました」と感心しきりだ。