そんな堤アナの姿勢を象徴するのが、「◯◯ですよね」といった具合でコメントの語尾に付く“ね”だ。近藤Pは「これが秀逸なんです」と評価する。

「決して上から目線ではなく、見ている人に考えるきっかけを与えてくれる、共感・同意のような感じの“ね”なんです。この“ね”を発するアナウンサーを僕は今まで知らなくて、堤の独特のものだなと思いました。寄り添うように問いかける感じが、そこに集約されていて、ニュースを伝えっぱなしにしないというスタンスがこちらにも伝わってきます」(近藤P)

この分析に、堤アナは「全く意識してなかったです(笑)」と喜びながら、「今話されたことは、実は私の考えていることと合致していて。この番組は、(アップの)画角も独特だと思うのですが、そうした要素に加え、自分が“こうなんですよ!”と示していくより、“こうなんだけど、どう思う?”って友達と会話してる感覚で受け取ってもらえるといいなと思っているんです。カメラの奥にいらっしゃる視聴者の皆さん1人1人と会話する感覚でやっていきたいという思いが、語尾の“ね”につながっているのかもしれないです」と解説した。

メディアが多様化し、テレビの立ち位置が大きく変化した中で、ウケるコメントの性質が、かつてのような“断定”より“共感”のほうが、フィットするようになったとも言えそうだ。

■エンディングの「それでは」に込めるもの

エンディングでは、カメラに向かって堤アナが「それでは」と挨拶するラストカットが決まりになっているが、「いろんな方から『“それでは”やってよ』と、すでに何回言われたか分からないくらい頼まれます(笑)」(堤アナ)と、すっかり名物に。この表情は、「この日、1時間弱番組をやってきて、視聴者の皆さんと同じ時間を共有したことで、きっと何か同じように感じる部分もあるのではないかと思うんです。なので“決め顔”を作るというより、そのときの自然な感情で挨拶しています」(同)という。

ちなみに、「“それでは”の後には実は“◯◯”があって、“おやすみなさい”や“明日も頑張りましょう”とか、皆さんに自由に受け取ってもらいたくて、ちょっと余白を作っているんです」(同)とのことだ。