■比嘉愛未の「味方だから」に“じんわり”

――以前比嘉愛未さんに取材させていただいたとき、桐谷さんのことを日頃から“お兄ちゃん”と呼び、公私共に相談に乗っていただいている、と仰っていました。そんな比嘉さんとのエピソードがあれば教えてください。

前作から兄妹役として共演していますが、愛未は常に冷静で、勇斗と同じくすごく頼れる存在です。クランクイン前には電話でいろいろと相談してくれて、「いい方向にいくよ、大丈夫だよ」と伝えたのですが、逆に愛未からも「お兄ちゃんも絶対に1人で背負いこまないでくださいね、私は味方だから」と言ってもらいました。じんわり来ちゃいましたね。僕は1人で背負い込んでいるつもりはなかったのですが、愛未には何か感じるところがあったのかもしれません。僕を見てくれていること、そして言葉にして伝えてくれることがありがたかったです。

■『インフォーマ』は毎日がお祭り気分の現場

――エイプリルフールには、前クールで放送されていたドラマ『インフォーマ』(カンテレ)で桐谷さんのバディ役を演じた佐野玲於さんが、今作の現場にやってきて磯村さんと入れ替わるというドッキリを仕掛けられていましたね。驚きましたか。

磯村が急に「喉痛い!」と咳き込み出して、捌けて帰ってきたら玲於になっていて。混乱しました(笑)。『インフォーマ』をテレビ朝日の宣伝部が好いてくださっていたことから実現したサプライズだと後から聞いて、「おいポンコツー!」(『インフォーマ』劇中で佐野を呼ぶときの口癖)とか言えば良かったなと後悔しました。もう豪太モードになっていたので、切り替わらなくて(笑)。玲於はすごく緊張したと言っていたのですが、サプライズのためだけに来てくれて……宣伝部と玲於の愛情をすごく感じました。

――8日放送の最終回には佐野さんが出演されるとのことで楽しみです! そんな『インフォーマ』は、桐谷さんにとってどんな作品でしたか。

昨年の夏に撮っていたのですが、現場がとにかく楽しくて、毎日がお祭り気分でした。「この先何が起こるんだろう」というストーリーで芝居をするのも楽しかったですし、深夜ドラマだからできるチャレンジングなことも盛り込みながら、それがNetflixで配信されることにもなってうれしかったですし。いろいろなところで反響をいただいて、続編の要望もたくさん届いてありがたい限りです。

■リアルタイムで反響が届く連ドラの魅力

――どんな反響が届きましたか。

ちょうど昨日、駐車場のおっちゃんに「インフォーマ、見たよ!」と言っていただきました。

――おまわりさんといい、桐谷さんは日々いろいろな方に話しかけられているんですね(笑)。

そうなんです。『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』の話に戻りますが、街の小学生たちの僕を見る目も変わりました。よく散歩中に近所の小学生たちと話すのですが、これまでは「ねぇねぇねぇ!」って積極的に声をかけてくれていたのに、今作の放送が始まると、僕が刑事役をしているからか、ちょっと背筋を伸ばしたような対応に変わった気がするんです。目で「見てますよ」って伝えて一目置いてくれているような……感覚ですけどね(笑)。幅広い年代の方に楽しんでいただける作品なんだなと再確認することができました。

ただ、撮影をしていると、不思議と木曜日の夜9時から10時のドラマが放送されている時間帯に「いつも見ています!」と声をかけられるんです。「今やってるんやけどなぁ……」と(笑)。録画で見ているかもしれないし、今は配信もあるのでいつ見るかは人それぞれなのですが、なぜかドンピシャでその時間に声をかけられると、ちょっと複雑な気持ちになるというか。しかも同じことが何度も起きていて、3回目は「また来た!」ともう笑ってしまいました(笑)。次の木曜日にもまた声をかけられるかもしれないとドキドキしています。こうやってリアルタイムで反応をいただけるのは連ドラならではだと感じます。

■まだまだたくさんの“面白い初めて”を

――今作は桐谷さんにとって、「ゴールデン帯連続ドラマ単独初主演」となります。『インフォーマ』の「連続ドラマ単独初主演」に続き、主演というポジションでの出演が続いている今のお気持ちは。

こんなん『初』さえ付ければナンボでも言えるんですけどね(笑)。でも感謝ですし、「もっと面白い景色を見に行こうぜ」と自分自身を鼓舞しています。まだまだたくさんの“面白い初めて”を経験したいですし、まだまだ経験できると思っています。

――最後に、今作の後半戦の見どころを教えてください。

今作から新しく加わったキャラクターたちもしっかり出来上がってきているので、木曜日21時には、そんな愛おしいキャラクターたちにぜひ会いに来てください。しっかり監修もされていて、刑事ドラマとしてリアリティを追求しているところもこだわりです。ぜひ最終回まで見届けていただけたらうれしいです。

■桐谷健太
1980年2月4日生まれ、大阪府出身。2002年のテレビドラマ『九龍で会いましょう』でデビュー。主な出演作として、映画『クローズZERO』シリーズ(07、09)、『TOOYOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16)、『彼らが本気で編む時は、』(17)、『火花』(17)、『ビジランテ』(17)、『ミラクルシティコザ』(22)、『ラーゲリより愛を込めて』(22)など、ドラマは『まんぷく』(18)、『ケイジとケンジ~所轄と地検の24時~』(20)、『俺の家の話』(21)、『インビジブル』(22)、『インフォーマ』(23)などがある。2023年秋に映画『首』が公開される。