こうして5年半にわたり「αブランド」を構築してきたが、実はスタートから半年で最大のピンチが訪れていた。フジテレビの報道番組ブランドを統一することになり、番組タイトルから『α』が消滅する危機に見舞われたのだ。

しかし、「“働く人の+αに”というコンセプトの拠り所がなくなってしまうので、そこはもう猛烈に掛け合いました(笑)。当時の報道局の幹部も理解してくれて、そこから統一ブランドの名称が変わっても『α』は変わらず残り続けることができたんです」と危機を回避。

それを受け、堤アナは「私が担当する前から先輩方が築き上げてきたものがベースとしてあるからこそ、取材先の方からも『見てました』と言っていただけるのだと思っています。今後もしっかり踏襲していきたいですね」と気を引き締める。

■ポジティブなニュースをもっと探していける展開を

堤アナをメインキャスターに迎えたこの4月のテーマは「継承と進化」。グラフィックは「CRYPTOMERIA(WEBLIFE Inc.)」、音楽は「Yaffle」が引き続き担当し、演出コンセプトに「Dreamscape(幻想空間)」を掲げてブラッシュアップさせる部分を「継承」と位置づける一方、「“αっぽさ”というのが浸透してきて、あまり他局に出演せず、それぞれの知見を持って第一線で活躍されるコメンテーターの方々がこれだけ多く“ファミリー”でいるのは、とても大きな資産なので、夜の番組だけではもったいないと思っているんです。なので、このブランドを使ってリアルな展開や新たなビジネスコンテンツの創出ができるのではないかと考えています」(近藤P)と、「進化」の形を構想する。

そのイメージとしては、「“α”というのをキーワードにして、若い新たな才能や日本全国のものづくりを応援してポジティブなニュースをもっと探していける展開ができると、ビジネスパーソンにとってヒントになったり、ポジティブな日本になるのではないか、ふわっと考えていたりします」とした上で、「そこで、堤が鍵になると思います」と期待を込めた。

●近藤篤正
1979年生まれ、京都府出身。一橋大学卒業後、02年にフジテレビジョン入社。警視庁などで5年間の記者生活を経て、『スーパーニュース』など夕方ニュースで特集ディレクターやプログラムディレクターを担当。17年10月スタートの『THE NEWS α』で「αブランド」のニュース番組を立ち上げ、以後、『PRIME NEWS α』『Live News α』の演出・プロデュースを一手に担う。

●堤礼実
1993年生まれ、米カリフォルニア州出身。大妻女子大学卒業後、16年にフジテレビジョン入社。『めざましテレビ』『めざまし8』といった情報番組のほか、『みんなのKEIBA』などの競馬番組、『全力!脱力タイムズ』『KinKi Kidsのブンブブーン』などのバラエティ番組も担当。23年4月から『FNN Live News α』で月~木曜のメインキャスターを務める。