――「グランプリファイナル」の注目カードを挙げるとすると、どの対戦になりますか?
宮司:私は第1試合の金属バットさんとマシンガンズさんです。どっちもすごく大好きで、まさかここが対戦することになるとは思わなかったという組み合わせであることと、やっぱり初めての『THE SECOND』で一番最初に漫才を披露するのが、あの金属バットさんなんだという衝撃ですね(笑)。制作側としても想定していなかった雰囲気になると思うので、逆にそれが楽しみだなと思います。
石川:普通のネタ番組は僕らがネタ順を決められますが、金属バットさんを一番にはしないですからね(笑)
宮司:一方、後攻のマシンガンズさんは、すごくテンポがいい漫才師さんですし、怒りを笑いに変えながらネタをされるので、金属バットさんのトップバッターの雰囲気をどう受けるんだろうなあと、楽しみです。この第1試合の対戦を見れば、『THE SECOND』がすごい大会なんだと思っていただけるような予感がします。
石川:僕はプロデューサーとしての視点になるんですけど、第2試合のスピードワゴンさんと三四郎さんというマッチメイクは、「グランプリファイナル」の1回戦からちょっと奇跡的な組み合わせになったなと思っています。『THE SECOND』の開催発表のときに、各事務所の代表の方々に大会の趣旨を説明させていただいたんです。普通のキャスティングなら、「この方に出てほしいです」と条件も含めて交渉できるんですが、これはオープンエントリーなのでそういうわけにはいかない。ただ、僕はスピードワゴンさんと三四郎さんには出ていただきたかったので、一縷(いちる)の望みをかけて、ホリプロコムさんにはスピードワゴンさんのマネージャーさんに、マセキ芸能社さんには三四郎さんのマネージャーさんに、「ぜひ多くの所属芸人さんにエントリーしていただきたいです」と言って説明させていただきました。その結果、2組とも出てくれることになり、その上勝ち上がって、しかも「グランプリファイナル」の1回戦で当たるなんて、こんなうれしいことはないですね。
――組合せ抽選会で三四郎の小宮さんが叫んでいたような「感慨深い!」エピソードですね。
石川:本当に「感慨深い!」です。こんなことが起きるんだなあ、と。
――2組とも「セカンドチャンス」に懸けなくてもいいくらいの売れっ子なのにエントリーしてくれたのもうれしいですよね。生放送当日、第2試合が始まったら泣いちゃうんじゃないですか?(笑)
石川:それを言うと、もうオープニングで泣いてるかもしれません(笑)
宮司:この前、組合せ抽選会の打ち合わせ前に石川さんにあいさつをしたら、石川さんがパソコンの画面を食い入るように見ていたんですよ。「どうしたんですか?」って聞いたら、「深夜の事前番組のVTRチェックしてるんだけど、感動して泣いちゃったよ」って(笑)
石川:このVTRが本当に素敵なんですよ。それを凝縮したものが生放送のときの漫才師さんの紹介VTRになるので、ぜひ注目していただきたいですね。
■MC卓からの至近距離で見えてきたもの
――宮司さんは生放送の本番に向けて、どのように準備されてきたのですか?
宮司:「ノックアウトステージ32→16」の組合せ抽選会の司会を担当したんですが、その前に、32組の「選考会」のネタを全部拝見しました。これはスポーツ取材をしていたときからの仕事の仕方というか、人生を懸けて挑んできている人たちに、真摯(しんし)に向き合わないといけないという気持ちがあったからです。どういう思いで参加されていて、どういう背景があるのか、全組の全てを知り尽くすのは無理かもしれないけれど、真摯に向き合う気持ちを持つ上で、自分ができることで一番分かりやすかったのが、やっぱりネタを全部見るということだったんです。
――「グランプリファイナル」の組合せ抽選会でも、参考になった部分はありますか?
宮司:金属バットさんがトップバッターに決まったときは、「ダルいっす!」なんておっしゃってましたけど(笑)、絶対本番はガチンコで臨まれるんだろうなあと思うし、皆さんそれぞれから「絶対勝ちたい」という思いで臨んでいるんだなというのが、すごく伝わってきました。そこでの言葉とか雰囲気を踏まえた上で、こちらも「グランプリファイナル」の戦いに臨みたいなと思います。
――「ノックアウトステージ」でMC卓からの至近距離で漫才をご覧になって、何か発見はありましたか?
宮司:人間の感情って目に出ると思うんですけど、あの至近距離で見ていると、漫才中にどんなことを考えているのか、伝わってくることがあったんですよ。
――ネタ中にですか?
宮司:そうなんです。結成歴が長いからこそできる意思疎通といいますか…。目や空気で意思疎通を図りながら、前の流れに合わせてイジりを足してみるとか、どのタイミングでネタに戻るのかとか、臨機応変にそういうことをされているんだろうなというのを、間近で見ているとすごく感じます。
――MC卓からモニターでも見られると思いますが、やっぱり直でご覧になるんですね。
宮司:そうですね。生で見られるなんてこんな贅沢なことはないですからね! あと、あの距離感だと声が大きい(笑)。テレビで見ていると音声さんが調整して聴きやすいようにしてくれていますが、生で聴いていると皆さん、本当に声を張っているし、圧倒されますね。
――では、「グランプリファイナル」生放送への意気込みをお願いします。
石川:他の賞レースはだいたい、準決勝までは劇場で開催しているんですが、この大会はベスト32(「開幕戦ノックアウトステージ32→16」)からフジテレビのスタジオにセットを立てて、楽屋もご用意して制作しているんです。ベスト16(「ノックアウトステージ16→8」)まで放送がないのに、セットにはかなりお金をかけていて、最後の生放送はさらに素敵なセットを用意しています。お金をかければいいという話ではありませんが、「漫才師リスペクト」の思いで、僕らもできる限りの準備と労力、そして予算をかけて制作しているので、そんな“フジテレビの本気”が漫才師の皆さんに伝わるとうれしいです。そして、そのステージで披露される漫才によって“漫才師さんの本気”が視聴者の皆さんにも伝われば最高ですね!
宮司:結成16年以上の皆さんということで、酸いも甘いも様々な経験をされてきた方ばかりなのですが、そのすべてを味わえる番組になると思います。皆さんが心地よくネタをできるような空気と、気持ちよく「やり切った!」と思って帰れる場を作れるように、頑張ります。
●石川綾一
1975年生まれ、大阪府出身。早稲田大学卒業後、98年朝日放送に入社し、『探偵!ナイトスクープ』を担当。03年フジテレビジョンに転職。バラエティ制作センターで『ペケ×ポン』『ほこ×たて』を立ち上げる。編成部やコンテンツ事業部を経て、現在は『ワイドナショー』『ドラフトコント』『THE CONTE』などのチーフプロデューサーを務めている。
●宮司愛海
1991年生まれ、福岡県出身。早稲田大学卒業後、15年にフジテレビジョン入社。『めざましテレビ』『さまぁ~ずの神ギ問』『潜在能力テスト』のほか、『S-PARK』でスポーツキャスターとして活躍し、平昌・東京・北京五輪の中継でキャスターを務める。その後報道キャスターとなり、現在は『Live News イット!』(平日版)のメインキャスターを担当している。