数々のヒーローを誇るマーベル・スタジオの中でも、クセが強くてワケありだらけのキャラクターが集結した映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ。最新作にして最終章となる『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』がついに公開を迎えた。2014年の第1作から9年間にわたって日本語吹替版声優を務めた山寺宏一、加藤浩次、遠藤憲一にインタビュー。同シリーズへの思いや演じた役との共通点など話を聞いた。

  • 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズで9年間にわたって日本語吹替版声優を務めた加藤浩次、山寺宏一、遠藤憲一(左から)

『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)でアベンジャーズの一員として世界を救った、銀河一の落ちこぼれチーム“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”。本作では、彼らの前に、銀河を完璧な世界に作り変えようとする最凶の敵ハイ・エボリューショナリーが現れ、宇宙一凶暴な毒舌アライグマ・ロケットに命の危機が迫る。そして、銀河一の落ちこぼれチーム vs 最凶の完璧主義者、全銀河の運命をかけた“最後の戦い”が幕を開ける。

ジェームズ・ガンが生み出し、全作品の監督を務めてきた同シリーズ。日本語吹替版では、クリス・プラット演じる主人公ピーター・クイル役を山寺、銀河一凶暴なアライグマ・ロケット役を加藤、セリフは「ボクはグルート」のみという樹木型ヒューマノイド・グルート役を遠藤が演じた。

――『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズから学んだことや影響を受けたことを教えてください。

遠藤:僕はCG作品があまり得意ではなかったので食わず嫌いしていましたが、このシリーズを見て「こんなに工夫されているんだ」とびっくりして、そこから好みが変わりました。

山寺:たくさん刺激を受けていると思います。いろんな要素が詰まっている作品ですが、特に今回のVOLUME3はよりメッセージ性が強いです。多様性や、何かのために頑張るとか戦うことの大事さ。我々の現実とはかけ離れている物語に感じるけど、いろいろな影響を受けていると思います。メッセージ性があるから心を揺さぶられる。しかもそれが押しつけがましくないんです。

遠藤:今回はロケットが大変なことになって、それをみんなで助けるんですよね。

山寺:今までも命がけで仲間を守ろうとしてきて、もともとグルートも身を挺してみんなを守ったわけですから。心がつながったら理屈じゃない。ロケットとピーターも罵り合っていたのに、いざとなったら……。心の底で何かでつながることってあるんだなと。それは意外と血のつながりよりも強い絆で、家族と呼んでいいんじゃないかなと思います。

加藤:ジェームズ・ガン監督がすごいなと思うのは、クリス・プラットが主演なのに主演に見えないということ。全然違う人種のキャラクターたち全員の個性が立っているんですよね。脚本段階で相当練り込んで、それぞれのバックボーンを作り込んでいないとそうはならない。ジェームズ・ガン監督はきっとこのシリーズを通して、国も年齢も立場も関係なく、それぞれの個性が大事だと伝えたいんだろうなと。そういうメッセージがあるけれど、全く押しつけがましくなく、全部コメディで表現していく。そこに刺激を受けましたね。全部のキャラクター好きですもん。これだけ個性が立っているってあまりないと思います。

――加藤さん自身、一人ひとりの個性が大事だと感じていますか?

加藤:すごく大切だと思いますね。全員が全員の個性をぶつけていいんだと。我慢する必要なんてないと思います。

――役とご自身の共通点や共感しているポイントも教えてください。

山寺:うらやましいところばかりですが、面白いことが好きでひょうきんなところは少し似ているかもしれません。あと、ピーター・クイルはすぐ踊りますが、僕も家でたまに踊っています(笑)。演じているクリス・プラットさんはすごくサービス精神のある方で素敵だなと。僕もそうでありたいと思います。

加藤:やっぱり自分の感情を抑えられないところでしょうね(笑)。ロケットも抑えられないところがあって、そこは共通点だと思います。

――声優続投が決定した際に「心の底に沈んでいる狂犬をもう一回呼び戻して、アフレコしたい」とコメントされていましたが、“狂犬”健在のようですね!

加藤:“狂犬”を呼び起こす必要はなかったです(笑)

――遠藤さんはいかがでしょうか?

遠藤:覚えが悪いところですかね(笑)。セリフもそうだし、こういうことをやったらダメだよというのをすぐ忘れてやってしまったり。

山寺:でも誰よりもグルートは優しいよね。遠藤さんもそうじゃないかなと思います。プライベートのお付き合いはないですけど、人柄を見ていてそう思います。