また、宮野は「早川逸馬が面白いのは、万太郎を先見の明によって見出す洞察力や感性、センスも含め、万太郎が悩んでいる自由というものの存在を、いいか悪いかは別としても、ある意味植えつけてしまうところです」と語る。万太郎は、自由とは何かを模索していくが、宮野にとっての自由とは何なのか。

「自由という言葉は、すごくハッピーで明るい感じに思えるし、軽いものに見えてしまうこともあると思います」とした上で「でも当時、彼らが追い求めていた自由はそういうことでもなく、自分がどう生きるかを示していくことだったかと。しかも幕末から明治という、それができなかった激動の時代の話だから、そこで闘って生きている人たちはエネルギーがすごくて、僕もそこに同調したいと思いました」と、まずは役への思いを語る。

そして、「僕自身にとっての自由は、役者として、エンタメを求める者としての信念みたいなものかなと。自由という言葉を借りると、自由自在にそこに向かっていけるメンタリティーを常に持っていたい。自分はエンタメが好きだからこの業界に入りましたが、なんでもかんでもが自由というわけではなく、自分という商品をいかに自由自在に表現するかということが大事で。だから、声優をはじめ、歌やドラマのお仕事もやらせていただくなかで、自由自在に、その役と自分のキャリアがフィットさせられるようになりたいです」

演説のシーンなどで長台詞も多い早川逸馬役だが、宮野は「土佐弁を頑張らなきゃいけないし、緊張している場合じゃなかったです。ちゃんと自分の言葉として伝えられるようにずっと反復練習をしました。土佐弁監修の先生が『宮野さん、全然大丈夫です』と言って、僕を上げてくれたことがすごく自信になり、それで緊張もしなくなり、とにかくこの作品の一員となって、チームとしていいものを作りたいと思えました。神木くんもずっと話しかけてくれて、初日からいい空気感ができあがっていました。神木くんとはLINEで連絡交換もして、芝居論みたいな話のやりとりもしました」とうれしそうに話す。

そして改めて本作出演について、「朝ドラ出演という貴重な機会をいただけたことで、自分の役者人生においても大事なステップをもらったと思っています。現場では素敵な出会いがあって、役者としてこういうことができるということをいろいろと感じさせてもらえましたし、自分にとって『らんまん』はかけがえのない作品になっています」と述べ、「きっとこの作品をご覧になっていただけたら、必ず自分の人生においても、希望の種が芽吹くと思うので、その小さな新芽を今後の大事な指針にしていただけたらなと思います」と視聴者にメッセージを送った。

■宮野真守
1983年6月8日生まれ、埼玉県生まれ。声優・俳優・歌手。2001年に海外ドラマ『私ケイトリン』の吹き替えで声優デビュー。以降、『DEATH NOTE』や『機動戦士ガンダム00』などで注目を集め、数々の話題作で主演を務める。劇場版・テレビアニメのみならず、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズや、映画『トップガン マーヴェリック』など多くの作品で吹き替えも担当。俳優としては、劇団☆新感線の『髑髏城の七人』Season月《下弦の月》や劇団☆新感線いのうえ歌舞伎 『神州無頼街』で主演を務めたほか、テレビドラマにも出演。歌手としては、2008年にシングル「Discovery」でデビュー。『ぐるぐるナインティナイン』の「ゴチになります!」の新メンバーとしても注目を集めている。

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