声優・俳優・歌手とマルチに活躍する宮野真守が、神木隆之介主演の連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~※土曜は1週間の振り返りほか)に、主人公・槙野万太郎(神木)と交流していく高知の自由民権運動家・早川逸馬役で出演する。宮野にインタビューし、朝ドラ初出演の感想や、「これまでのキャリアが活かせた」と語る逸馬役について話を聞いた。

  • 『らんまん』早川逸馬役の宮野真守

高知県出身の植物学者・牧野富太郎をモデルにした本作では、幕末から明治、大正、昭和と激動の時代に、植物を愛し、その研究に情熱を注いでいく槙野万太郎とその妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く。

宮野は、『らんまん』出演が決定したときの心境を「驚きと喜びが同時に湧き上がりました。まさか、自分のキャリアとして、朝ドラのオファーが来るとは全然思ってもいなかったので、非常に驚きました。とても熱いオファーのメッセージをいただけたことも光栄だったし、早川逸馬という役が『らんまん』や万太郎にとってとても重要な存在になるということも含め、とてもうれしかったです」と興奮気味に語る。

そして、「実際に参加する日が迫ってくるまで、独特の緊張感を感じていたと思います」と振り返る。

「朝ドラの制作の仕方やスケジュールの流れも今回初めて知りました。まず、リハーサルの日があると聞いて、そこまでにすべての台詞を入れていかなければいけないのか! と思いつつも、どう準備していったらいいのかわからずで(苦笑)。とりあえず自分にできることはすべてやろうと思い、土佐の言葉を一生懸命練習して、本当にドキドキしながら現場に行ったら、遠くから神木くんが『マ~モさ~ん!』と天使のような笑顔で声をかけてくれて、その瞬間、すぐに緊張が解けました。すごくありがたかったです」

神木の印象については「天使です」と繰り返す。

「以前、僕の舞台を観に来てくださり、楽屋でお会いしましたが、お仕事としては今回が初めてでした。神木さんは現場の空気を一番に明るくしてくれて、なんてすてきな現場なんだろうと思いました。神木さんの天真爛漫さがきっといろんな人に伝播し、どんどん広がっていってるんだと思うと、僕もその輪に入らせていただいて、とても幸せだと感じました」

神木は、宮野が声を務めた『DEATH NOTE』(06、07)のキャラクター、夜神月の大ファンだったそうで「神木くんから『撮影期間中、絶対マモさんに夜神月の声をやってほしいんです』と言われ、『そっか、そっか。落ち着け、落ち着け』と(笑)。それで神木くんがメイクに行く前にぽろっとやったら『やったあ!』と喜んでくれましたが、現場では神木くんのおかげでずっと笑顔でいられました。また、大河ドラマの撮影に来ていた山田裕貴くんも『僕の神です』と言って、僕を紹介してくれましたが、違うベクトルで僕は2人の神だったみたいです」と笑顔を見せた。

■「自分の経験がこんなに活かせるキャラクターに出会えたんだ!」

人気声優として名を馳せる宮野だが、俳優として舞台でも主演を務め、近年はテレビドラマでの露出も増えてきた。今年に入ってからは北川景子主演のドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』での検察官役も記憶に新しいところだ。早川逸馬役では、それらの経験に加え、意外にもこれまでのキャリアが役に立ったと言う。

「ドラマ撮影においてはまだまだ経験が足りないながらも、自分がどう映って、カメラがどこを狙っているのかなどを見聞きした経験が少しは活かされてきたのかなとも思っています。それにプラスして、僕は舞台を精力的にやっているので、自分をどう表現したいかという思いがすでにある中で、今回、演説会のシーンが多い早川逸馬という役をいただきました。ちょうど撮影は、逸馬がステージに立ち、聴衆に向かって自分をアピールしていくシーンからだったので、自分の経験がこんなに活かせるキャラクターに出会えたんだ! と思う瞬間がありました」

それは、普段、宮野がステージでやっていることとつながっていたと言う。

「舞台への上り方やその場の空気感もそうです。僕がライブをする時、ファンのみなさんの前でのアプローチの仕方や、目線1つとっても、ここまで自分がやってきたことが活かせる役に出会えることは本当に珍しいなと思いました。もちろん逸馬としてのアプローチもたくさんありましたが、自分の中で自然と湧き起こる表現があったんです」

とはいえ「それでも、僕にとって演じやすいキャラクターというのはないとも思っています」とキッパリ言う。

「それは声優業においても言えることですが、自分のキャリアをフィットさせられるキャラクターだったとしても、それは自分ではないし、むしろ自分として演じてはいけないと思うと、そこに難しさを感じます。じゃあ、何を頼りにするのかといえば、やはり早川逸馬という人物がどう生きてきたかをしっかりと考え、自分のみから生み出すのではなく、監督とブレストして、方向性を確認します。それで今回は、逸馬の派手な部分とクレバーな部分、彼が自由民権運動家として何を示していきたいかを捉えようとしました」