俳優の山田裕貴が主演を務めるTBS系金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(毎週金曜22:00~)が、きょう21日にスタートする。初のGP帯連続ドラマ主演に挑む山田にインタビューし、本作に対する思いや役作り、赤楚衛二と上白石萌歌との共演などについて話を聞いた。

  • 『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』で主演を務める山田裕貴

本作は、都心へと向かう電車の一両が未来の荒廃した世界にワープしてしまい、電波が通じないうえに水も食料もない極限下で、乗客たちが生き抜くためのサバイバル生活を繰り広げる物語。この電車に乗り合わせた乗客で、メディアでも活躍するカリスマ美容師・萱島直哉役を山田、正義感溢れる消防士・白浜優斗役を赤楚、高校の体育教師・畑野紗枝役を上白石が演じる。

1月期にはフジテレビ系月9ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』に出演し、現在放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』にも本多忠勝役で出演するなど、引っ張りだこの山田。多忙な日々の中での癒やしについて、「家に帰った瞬間はリラックスできるかなと。あと、酵素風呂や整骨院に行って体をリセットするのが一番幸せだなと思う瞬間です」と明かす。

また、「かっこつけているみたいに思われたら嫌なんですけど……」と前置きした上で、「本当に幸せだと思える瞬間は、このドラマを見てもらって『面白い』と言ってもらえたときしかないんだろうなと。参加している作品は全部そう思われたいし、そうじゃないと自分がいる意味がないと思ってしまうので、そこは本当に報われたいなと思います」と作品に対する強い思いを吐露。

さらに、「みんなが楽しくやれて、自分だけではなくみんなで最後に『このドラマやってよかったね』って言えるようになることが、一番リラックスと幸せを得られると思います」と言い、そう思える作品にすべく全力で挑んでいる。

先日行われた制作発表で、「水や食料がない状態なので、今日は食べずに、飲まずに撮影してみようとか、みんなでチャレンジしながらやっています」と、過酷な状況に自らを追い込んで撮影していることを明かしていたが、日常生活とはかけ離れた物語をいかにリアルに見せられるか、そこに難しさを感じたという。

「リアルじゃないものをどこまで本当に思ってもらえるかというのはものすごく難しいなと、台本を読んだときに思いました」。そして、この物語をしっかりと成立させるためには「主要人物だけでやらないというのが重要なのではないか」と考えている。

「セリフのある役の人たちだけがしゃべっているのでは場の空間が成り立たなくて、直哉としても、対1人とか対3人ではなく、みんなに声をかけるように気をつけています。乗客一人ひとりに人生があるということを無視しないように。だからこそ撮影のときに配置が難しいなと思っていて、ディスカッションさせてもらいながらやっています」

山田が演じる直哉は、仕事柄コミュニケーション能力は高いが、どこか心を閉ざし、表面上の明るさと饒舌さで日々をやり過ごしてきたという人物。そこには複雑な過去が関係しており、山田もその背景を意識しながら演じている。

「直哉は小さい頃、愛されたかったし、お父さんお母さんを好きになりたかった人。でもそういう環境にいられなかったからこそ、誰かを信じてしまうことがものすごく怖い。いなくなってしまうかもしれないし、離れていくかもしれないし、その前に自分がそこまで人に思いを寄せなければそんなに傷つかずに済むと思っている」

12歳離れた弟・達哉(池田優斗)の影響も大きいようで、「面倒を見てきた弟が事件を起こし、『僕は1人で寂しかったんだ』と言われたことがものすごくショックだったと思う」と分析。

「学校に行くまで育てたのにそう言われて、『俺は何をやってきたんだ』『なんでこんな人生なんだろう』『僕を愛してくれる人は誰なんだ』と。人を愛することも嫌になり、だからこそ人との関わりを遮断するというか、思い入れを持たないように生きる癖がついてしまっている」と捉え、「ただ嫌なヤツではなく、そういう人生があったからこそ、と見えたらいいなとものすごく思っています」と明かした。