現在公開中であるNetflix映画『ちひろさん』では、威勢よく啖呵を切るシングルマザー役を演じていた佐久間だが、本作の綾もしかり、勝ち気な役どころを演じることが多いと言う。

「なぜか強い女性の役柄をいただくことが多くて、いつも苦戦しつつも楽しんでいます。最近は『強い』と言ってもどんな強さがあるのかと考えつつ、より役の幅を広げられたらと。演じるうえで私はシンパシーをすごく大事にしていて、今までは自分自身が物語にどう共感できるかを考えてきました。でも、最近はもう少し自分軸ではないところで、今の世の中の社会軸など、もっと視野を広げた部分で物語が存在する意味をキャッチし、その中で自分の役割を全うできたらいいなと考えているので、そこに飛び込む勇気を持てたらいいなと思っています」

そういう変化は、日頃の積み重ねによるものだそうで、「普段から小説が好きでよく読んでいますが、やはり小説を選ぶ時も自分軸で選ぶことが多いです。いろいろと幅を広げていった時、好きな作家さんの作品でも理解できないなと思うことがあり、そこにたどり着けない自分ってなんだろうと日々思うので、そういうことの積み重ねで徐々に変わっていった気がします」と語る。

第3週以降、万太郎と同様に、綾も様々な運命に翻弄されていきそうだが、佐久間はそんな綾にしっかりと向き合って演じている。

「脚本の長田(育恵)さんがおっしゃっていたのですが、どうにも変えられない環境や時代の中で、綾は太陽の方に向かって伸びる植物のイメージだと。自然に例えると、万太郎が流れる水だとしたら、綾は火や土のようだとおっしゃっていました。人生は考え方次第でどうにでもなるというか、自分に起きた出来事や宿命に対して落としどころをどこに持っていけるかが大事かなと。万太郎もそうですが、綾もちゃんと筋を通した上で、ポジティブなお日様の方に向かって伸びるといい力強さを持っていると思いました。だからどんなことがあっても『悲劇にはならないぞ』という思いを根っこに持って演じています」

最後に、視聴者に向けて、「これまで子役のみなさんが万太郎や綾をすごく魅力的に可愛らしく、そして力強く演じてくださいました。第3週から、物語がさらに動いていく中で、好きなことを貫くという純粋な強さや、いろいろなしがらみ、宿命も感じつつ、全てを変えることは難しいですが、自分にはこんなことができると、前に向かって進んでいく力みたいなものを感じてもらえればうれしいです」とメッセージを送った。

■佐久間由衣(さくま・ゆい)
1995年3月10日生まれ、神奈川県出身。2013年、『ViVi』専属モデルオーディションでグランプリに輝く(2017年卒業)。主演映画『隠れビッチやってました。』(19)では東京国際映画祭にて東京ジェムストーン賞を受賞。主な出演ドラマは、連続テレビ小説『ひよっこ』(17)、『彼女はキレイだった』(21)、『最愛』(21)など。主演映画は『“隠れビッチ”やってました。』(19)、『君は永遠にそいつらより若い』(21)など。

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