連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~※土曜は1週間の振り返りほか)で、神木隆之介演じる主人公・槙野万太郎の姉・綾役を演じる佐久間由衣。『ひよっこ』(17)以来2作目の朝ドラ出演に佐久間は、並々ならぬ思いで現場入りしたと言う。
高知県出身の植物学者・牧野富太郎をモデルにした本作では、幕末から明治、大正、昭和と激動の時代に、植物を愛し、その研究に情熱を注いでいく主人公・槙野万太郎(神木隆之介)とその妻・寿恵子(浜辺美波)の波乱万丈な生涯を描く。
『らんまん』への出演が決まった時は「『ひよっこ』から巣立ち、もっと力をつけて、また朝ドラという場所に帰ってこられたらいいなと思っていたので、本当にうれしくてたまらない気持ちでした。やはり自分にとってすごく大事な存在の朝ドラでまたオファーをいただけたことと、『らんまん』の粗筋を読ませていただいた時にすごく面白かったことがどちらもうれしくて、これは絶対にやらせていただきたい! と思いました」と喜びを口にする佐久間。
また「個人的には『ひよっこ』当時よりも、自分の中での選択肢が増えたような状態で挑みたかったのですが、自分に対してあまりいい意味ではないプレッシャーをかけてしまうと嫌だなとも思いました。今は丁寧に、自分が持っているものをいっぱい出せていけたらなと。後悔をしないように、燃え尽きるぐらい全力で挑んでいきたいです」と意欲を口にする。
『ひよっこ』では有村架純演じるヒロイン・谷田部みね子の親友・助川時子役を演じた佐久間は、当時を振り返り「あの頃は闘牛のように真っ直ぐ突っ走ることで精一杯でした」と述懐する。
「今は周りのスタッフさんや役者さんといろいろなことをお話させていただき、他の方々と意見交換をさせていただく余裕が持てている気がします。でも、昨日できたお芝居が今日はできなかったりすることもあり、前進していると思いつつ、やっぱり現場は生ものとして毎日を乗り越えている感じです。もちろん半年間も同じ役を演じさせていただけるなんてとても贅沢なことなので、そこは自由に楽しむ余裕を持ちつつも、一生懸命やっていきたいです」
クランクイン前には、1人で高知を訪れ、舞台となる佐川町や、牧野植物園、仁淀川、桂浜などを周り、様々なことを吸収しようとしたという。
「現地で生の土佐弁を聞きたかったので、町をブラブラしながらすれ違う人の土作弁を聞いたりしました。スーパーに行くとほとんどの野菜が高知県産で、そこもすごく魅力的だなと。高知は天気も変わりやすく、自然も豊かだから、いろんな種類の植物たちが生まれているのかなと思いました。また、本当に元気でパワフルな方が多いという印象も受けましたが、きっと自然と通じているからこそのたくましさかなと。そうやって自分で見て、肌感覚で感じられたことが役にとっても、自分自身としてもいいご縁だったと思います」
第3週から子役の高橋真彩からのバトンを受け、綾として本格的に登場する佐久間。18歳になった万太郎は、相変わらず植物の研究に没頭する日々を送っているが、綾も禁じられた酒造りへの夢を諦められずにいる。時に万太郎をいさめつつ、サポートしていくという姉弟愛が子役時代から綴られてきたが、神木とのやりとりにも注目していきたい。
「神木さんとは、具体的に演技についてお話させていただいたというより、 現場での空気感をお互い感じつつやらせていただいています。神木さん自身が現場ではとても自然体で、まさに少年の心を常にもったままいらっしゃるので、万太郎と重なる瞬間も多く、 そのおかげで、綾と万太郎の関係性についてヒントをいただいている気もします。また、綾は弟のことを思って叱ったりしますが、私自身は人に叱るという経験があまりなかったので、綾の愛情深さをどう表現したらいいのかなと思いながら、いろいろと経験させていただいています」
演じている綾については「すごくしっかりしているし、環境や時代のしがらみみたいなものの真っただ中にいるのに、それを不服に思わずに受け入れつつ、ちゃんと自分自身を抑えつけず、意志を持って前に進んでいきます。そんな綾を本当に尊敬していますし、そこに追いつけるよう、自分も頑張りたいと思っています」とリスペクト。綾との共通点を尋ねられると「世話焼きな点ぐらいでしょうか。でも、私は綾のようにテキパキと周りを見て動くことはなかなかできていない気はします」と笑う。