――キッチンカーの客であるオタク青年・亀田(演:キャッチャー中澤)がカメラを向けた瞬間、朱音が思わずアイドルポーズを取るところ、テンポがよくてつい笑ってしまうよいシーンですね。

あのカットだけは、アイドルの小栗有以がそのまま出ちゃっていますね(笑)。自分の得意なアイドルポーズを、自由にやらせていただきました。

――後半の朱音の見どころは、半田健人さん演じる蜂矢に「美味い」と言わせられる料理を作る、緊迫感に満ちたシーンでした。ここで朱音が発する「決めゼリフ」がとてもカッコよかったです。

冴えないおっさんだと思っていた九條が、自分のために命がけで戦ってくれている……という朱音の「思い」を込めて発したセリフでしたから、カッコよく決まっていると言われるとうれしいですね。

――勝負(料理)に出る寸前の朱音が髪をキュッと結んだり、バンダナを締めたりするアップカットがインサートされ、まるでハリウッドのアクションスターのようなカッコよさが表現されていました。

ちょっとした動作ひとつで気持ちがガラッと変わるというか、朱音が「よし、やるぞ!」と気合いを入れる瞬間がうまく表現できたのではないかと思います。

――厨房で料理を作っているところに、九條と黒虎(演:ケイン・コスギ)が乗り込んできて大騒ぎになるシーンがありますが、それほど広い場所でもないですし、火を使っているから危なかったのではないですか。

高岩さんの背中に着いた「火」を私が消すところがあるんですが、なかなかうまく消せなくて、カメラの向こうにいらっしゃる監督やスタッフさんに笑われてしまいました。シーンとしては、とても緊張感のあるところなんですけどね。

――小栗さんが特に印象に残っているシーンを教えてください。

あるアクシデントによって九條が意識不明になり、朱音が「戻ってきてほしい」と願いを込めて心臓を強く叩くシーンです。演じながら私も胸がいっぱいになってしまって、作品全体を通してとても印象に残っています。私が高岩さんの胸を叩き、その反動で起きることになっていたのに、上手く叩くことができず、高岩さんから「もっと強く、本気で叩いていいよ」とご指導していただきながら臨んでいました。やっぱり高岩さんは体がしっかりしているので、私の腕力だとぜんぜん効かないんですね。こういった演技をしたのは初めてで、貴重な体験となりました。

――シリアスな雰囲気が高まった後、ちょっと「笑い」が入るシーンがあったりして、肩の凝らないエンターテインメントを目指しているのがよくわかります。小栗さんがお好きなコミカルシーンはどこですか。

好きなシーンがいっぱいありすぎて、なかなか選べないのですが……九條が激しい戦闘をしている最中なのに、朱音が戦場メシのレシピを忘れちゃって「教えて!」と言うところなんて大好きです。スリリングなシーンなのに、ちょっとガクッと来る感じがいいなあって(笑)。試写で見て、改めて笑っちゃったところです。あとは、九條がさらわれたことをバー「アルジャーノン」のマスター・チャーリィ(演:横山一敏)に知らせるため、朱音が駆け込んでくるシーン。「どうしたの?」って尋ねたチャーリィさんの突飛な格好を見て、朱音は思わず「いや、お前がどうした!?」ってツッコむんですけど、これは撮影前に横山さんとお話をしていたとき、出てきたアイデアを使わせてもらったアドリブだったんです(笑)。

――小栗さんのファンの方たちも配信開始を楽しみにされていると思います。最後に、小栗さんから本作の見どころをお願いします。

普段の私はフワフワした感じなのですが、朱音は親子ほど年齢が離れている九條に対しても「上から」ものを言うような女の子です。いつもと違った私の姿を見ていただけたらうれしいですね。そして、一流のシェフを目指して頑張っていく中で、九條の力強い助けを得て、気持ちをどんどん変化させ、成長していく朱音を見守ってください。高岩さんのアクションも前作からよりパワーアップしていますので、思いっきり楽しんでください!