俳優業をスタートし、すでに20年以上のキャリアを誇る本郷奏多。4月11日にスタートするフジテレビのドラマ『クライムファミリー』(毎週火曜24:25~ ※関東ローカル)では、主演として天涯孤独の一文無しの詐欺師・松田郷を演じる。これまでクールで現実離れした役を演じることが多かった本郷が、一見するとクールで擦れたキャラクターだが、その実は「人間らしくて愛らしい」という温かみのある役に挑んでいる。近年は、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でも、突っ込みどころがありつつも愛すべき五十嵐文四郎を演じるなど、役柄の幅を広げているような印象があるが、現在32歳の本郷は「まだ年相応の役柄にシフトできていない」と自己評価。そんな本郷の胸の内に迫った。

  • 本郷奏多

本郷が主演を務める『クライムファミリー』は、フジテレビのヤングクリエイターたちが月替わりで担当する「火曜ACTION!」枠で放送される。本郷演じる松田郷は、天涯孤独にして無一文の詐欺師。金に困り、裕福で品行方正な“佐々木家”に、経歴を偽り一流の家庭教師として潜入する。しかしその一家は、本郷以上に犯罪に手を染める家族で……というストーリー。

悪人である主人公がさらに、悪の家族と出会い、皮肉にもその家族を公正に導くというプロットに本郷は「最初の1~2行でも面白そうでやってみたい」と思った企画だったと言い、自身が演じる郷という役について「詐欺師という設定ですが、台本を読んだ感覚だと、根は悪い人ではない。心の奥底は優しい青年だと思ったので、単純に嫌な奴だと思われるのはもったいない。どこか愛すべきキャラになったらいいな」という思いで作品に挑んだと語る。

“悪い奴”として登場するものの、もっと悪い家族に翻弄される郷。「佐々木家のお父さんやお母さんは郷よりも年上なのですが、子供たちは僕の方が年上なんですよね。それでも簡単に振り回されてしまうようなちょっとダメな感じとかは、演じていて面白い」と新しい感覚を味わっているよう。

  • 『クライムファミリー』メインビジュアル (C)フジテレビ

本郷と言えば、『GANTZ』シリーズの西丈一郎や、『鋼の錬金術師』シリーズのエンヴィー、『キングダム』の成キョウなど、数々の人気漫画原作で、その再現率の高さがたびたび話題になっており、多くの原作ファンからも一目置かれる存在になっている。その他、エキセントリックな役をやらせれば、右に出るものはいないというほど、個性的な俳優として評価も高い。

一方で、近年は本作のクールに見えて実は愛すべきキャラクターや、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の不愛想で不器用だが実は熱い五十嵐文四郎など、“実は”ハートフルというキャラクターを好演し、役柄の幅を広げているように感じられる。

しかし現在32歳の本郷は「僕のなかでは、求められている役柄が変わってきたという感覚は一切ないんです」と客観的に自身を見つめる。続けて「俳優という仕事は年齢を重ねると役柄というのは必ず変わってくる。そこにちゃんとシフトしていかないと、ずっと続けていくことは難しいですよね」と述べ、「いまのところは、良くも悪くもこれまでやってきた役柄のイメージでお仕事をいただいているような感じがしています。年相応というところがうまくできていないと思うので、どこかでしっかりとシフトしていけるようになれたら」と胸の内を明かした。

だからと言って「敢えてそれを意識して無理するようなことはしたくない」と語る本郷。あくまで、自身の感性のまま、年齢と共にシフトしていければ……と自然体でいることを強調する。そのためには「一つ一つ与えていただいたものに、最大級のパフォーマンスを発揮できるように頑張ること」を常に心掛けていると言い、「例えば原作もののお話がきたら、しっかり愛情を持って勉強をしますし、役にとっていいものがあれば、取り入れようとします」と芝居に対して真摯に向き合っている。