昨年放送されたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でトキューサこと北条時房を演じて話題を呼び、同年公開の映画『愛なのに』で「第44回ヨコハマ映画祭」主演男優賞を受賞するなど、確かな演技力で存在感を高めている俳優・瀬戸康史。今年2月には地元・福岡県嘉麻市と手を組み地方創生プロジェクトを発足。愛する地元を盛り上げようと動き出し、特技のデジタルアートでキュートなオリジナルキャラクター「カマシカちゃん」も生み出した。瀬戸にインタビューし、地元や同プロジェクトへの思い、カマシカちゃんの制作秘話など聞いた。

  • 瀬戸康史 撮影:蔦野裕

瀬戸は2016年には嘉麻市名誉市民を受賞。嘉麻市の広報冊子への出演や、母校の中学校の卒業式にサプライズ出席するなど、継続的に市民と交流を深めてきた。そして今年2月、ワタナベエンターテインメントは瀬戸をプロジェクトリーダーとして、嘉麻市との地方創生プロジェクト「SETO×KAMAプロジェクト」を始動。第1弾として瀬戸が嘉麻市の魅力的なスポットを巡るPR動画を公開し、瀬戸とカマシカちゃんの共演も実現した。カマシカちゃんの声は、瀬戸の妹である女優・瀬戸さおりが担当している。

――「SETO×KAMAプロジェクト」発足の経緯を教えてください。

ずっと地元が好きなのですが、地元に帰るたびに元気ないなと思っていたんです。盛り上げるために何かやりたいと思い、事務所と市でこのプロジェクトを進めてきました。

――そして、瀬戸さんがデザインされた嘉麻市の新しいキャラクター・カマシカちゃんが誕生しました。とてもかわいいですね。

ありがとうございます。もともと嘉麻市に「かまししちゃん」というイノシシのキャラクターがいるのですが、「嘉麻市とシカでカマシカちゃん、いいじゃん!」と思って。後付けですけど、市の方が「イノシシとシカが多い」とおっしゃっていて、ちょうどよかったなと。

――ちなみに、瀬戸さんはいつまで嘉麻市で暮らしていたのですか?

高校の途中まで嘉麻市の実家に住んでいました。高校は隣の飯塚市ですが。高2から東京に来ました。

――ずばり嘉麻市の魅力とは?

自然が豊かで本当にのどかなんです。そして、動画の中でも紹介していますが、キャンプ場があったり、シャワークライミング(沢登り)ができたり、レジャーも増えてきていて。キャンプ場にハンバーガーショップも隣接されていて、ハンバーガーとてもおいしかったです。でも、これからもっともっと変わっていかないといけないなと感じていて、何ができるか今考えています。

――嘉麻市が盛り上がるような企画など、瀬戸さんも提案されていくわけですね。

そうですね。若い人たちが来たいと思ってもらえるような市にしていけたら。どんどん嘉麻市が元気になって、それを取り巻く地域も元気になっていけたらいいなと思っています。市の皆さんにも市をもっと元気にしていきたいと思ってもらいたくて、このプロジェクトがそのきっかけにもなればいいなと思っています。

――「旅行に来てほしい」or「定住してほしい」どちらを考えていますか?

両方ですね。住みたいと思ってほしいし、遊びに来たいと思ってほしい。山や川など自然が豊かなので、「あ~落ち着くな~」「きれいだな~」と感じてもらいたいです。アート的にも、織田廣喜美術館が魅力的で、地元の小学校・中学校の展示物も飾ってあってみんなの芸術センスもすごかったので、発信していけたらいいなと思いましたし、それを生かしていろいろやれるのではないかなと思いました。

――“アートのまち”に!?

直島みたいな感じで(笑)

――動画にも登場しているかっぱの石像もかわいかったです。

かっぱのなつきちゃん、とってもかわいいんです。もともと稲築町(いなつきまち)が僕の出身で、合併して嘉麻市になったのですが、なつきちゃんは稲築町のキャラクターとして誕生し、地元ではとても有名です。僕が描いたかまししちゃんとなつきちゃんも、インスタグラムに載せているので見てみてください。

――嘉麻市で育ったから自分はこんな人間になった! と感じていることはありますか?

嘉麻市というより福岡全体になるかもしれませんが、福岡は祭りが多く、僕が通っていた幼稚園では楽器もやっていたし、演劇みたいなこともやっていたし、運動にも力を入れていて、肉体表現も心の表現もいろいろやっていました。福岡はたぶんそういうのが盛んで、だから僕も表現というものが好きなんだろうなと思います。

――つらいことや落ち込むことがあったときに、地元にいた頃の記憶に力をもらうとコメントされていましたが、どんな記憶がよみがえりますか?

家族ですね。あとは、友達と自転車でカラオケに行っていたなとか(笑)。今でも応援してくれていますが、心の支えになっています。