誰も調べたことがないような“せま~い歴史”=「バカせまい史」を紹介するフジテレビ系バラエティ番組『私のバカせまい史』(20日スタート、毎週木曜21:00~)。特番として3回の放送に加え、深夜に6週連続で放送し、「武田鉄矢ものまね史」「東海テレビの昼ドラ愛憎グルメ史」「吉川晃司のシンバルキック史」など、18本の“研究発表”が行われてきた。

徹底的に調べ上げた“研究成果”を発表するのは、他の番組と比べ物にならない熱量と労力をかけた準備で臨む“研究員”のタレントたち。本番に向け、睡眠時間を削ってプレゼンのクオリティを上げることに尽力するというカロリーの高い仕事だが、発表を終えた面々は、一様に充実感に満ちた表情を見せている。

そこで、レギュラー初回収録を終えた“研究長”のバカリズム、“研究員”の森田哲矢(さらば青春の光)、せいや(霜降り明星)、そんな彼らの研究発表をサポートする“助手”の永島優美アナウンサーに、舞台裏を聞いた――。

  • (左から)さらば青春の光・森田哲矢、バカリズム、永島優美アナ、霜降り明星・せいや (C)フジテレビ

    (左から)さらば青春の光・森田哲矢、バカリズム、永島優美アナ、霜降り明星・せいや (C)フジテレビ

■情報が正しくて、細ければ細かいほど面白い

「バカせまい史」の研究テーマは、スタッフとの会議で自身からもネタを出すというバカリズム。「スタッフさんから面白そうなネタを提案していただけると、うれしいのはうれしいんですけど、どっかで“俺が思いつきたかった”っていうジェラシーもちょっとあるんです(笑)」と、芸人としてのプライドをのぞかせる。

そして本番に向けて打ち合わせを行っていくが、森田は「普通の番組は1回で、番組によってはディレクターが40~50秒しゃべって終わりみたいなこともあるんですけど、この番組はがっつり2時間くらいやって、それが3回くらいあるんですよ」と、異例の回数と時間をかけていることを紹介。スタッフから説明を受けるだけでなく、「『これをやるんだったら、ここを調べてもらえないですか?』とか『これを軸で行ったほうがいいですかね?』とか、『この年には何がありました?』ってひも付けたい出来事を聞いたりしますね」(森田)と議論を重ね、プレゼンの精度を上げていく。

せいやは「今回は最終の打ち合わせで、あるグラフが出てきて、『この数字ってなんですか?』って聞いたんですよ。そしたら「これは触れずにいこうと思ってるやつで…』っていう数字だったんですけど、内容を聞いたら面白かったんです。だから、急きょ本番で言うことにして、OAで詳しく差し込むということになりました。『ここおもろがりたいですね』っていうのは、ギリギリまで詰めてますね」と、こだわりぬいて準備。

バカリズムも「リサーチしていただいた情報を集めながら台本を組み立てていくんですけど、『ここにこういう情報や資料が出てくるとすごく面白くなるんですけど』とか『当時のことを知ってる証人はいますか?』とか打ち合わせしていきます。この番組は、情報が正しくて、細ければ細かいほど面白いので」というが、「やっぱり笑いを取りたいから“これが使えればめちゃくちゃ面白い”っていうネタがあるんですよ。でも、そういうところで、権利や許可関係で出せないということになったりするんです」と、調査の難しさを痛感する場面が多いそうだ。

■バカリズムの発表スタイル「わりと映像を使わない」

森田は、バカリズムのプレゼンスタイルを「単独ライブ見てるのと一緒」と表現するが、本人も「こういうプレゼン形式のネタもあったりするんで、わりと近いのかもしれないです」と実感。研究員それぞれにプレゼンのスタイルが確立しつつあるそうで、バカリズムは「僕はわりと映像を使わないんです。それはたぶん、自分のしゃべりやすいテンポがあるので、無意識のうちに映像が少なめになっています」とのことだ。

話題を集めたドラマ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ)でも、圧倒的な取材量で得た職業の“あるある”などの情報をもとに脚本を書いていたバカリズムだが、「フォーマットが違うので、全く違う種類の大変さがありますね。この番組はストーリーなんかなくてもいいですから(笑)」と語った。