――最新のシティポップサウンドというと、当時のシティポップと比べてどういったところが違うものなのでしょうか?

TeddyLoid:やっぱり音像(※1)ですね。当時の曲は当時の曲で音質の良さがあるんですけど、現代のシティポップはちゃんと今の音像にアップデートされていて、今のサウンドシステムで聴いてもすごくキレイに音が出ていて。今回のプロジェクトのミックスも、そういう音像を意識しています。

※1:オーディオ装置で音楽を再生した際、楽器や声を発する人がその場所に存在するかのように再現される様子。

――Carlosさんはいかがでしょうか?

Carlos K.:親が音楽好きだったので、山下達郎さんの楽曲が家で流れていたり、シティポップは日常的に聴いていましたし、シティポップブームに入る前から、J-POPにはその要素を醸し出すバンドもすごく多かった印象があって。その流れから今のブームに繋がっているのかなと思いますね。

■ボーカル・夕七の魅力「すごく才能がある」

――では続いて、今回のプロジェクトでメインボーカルに抜擢された夕七さんの魅力について教えてください。

TeddyLoid:最初に夕七さんの歌を聴かせてもらったのは、とあるカラオケでした。いろんな曲を歌ってもらったんですけど、その時に歌ってくれた奄美の土地の方言が少し混じった曲が特に印象的だったんです。その歌がすごく素敵で、(どんな曲を作るのか)ピンと来ましたね。

Carlos K.:本当にすごくいい声質で、少し民謡っぽさがあるこぶしも良かった。でも今回オリジナル楽曲を歌ってもらうと、カラオケで聴いたときの歌声とはまた違った感じで。自分たちが作ったシティポップの曲を華やがせてくれるような素晴らしい歌声を乗せてくれたので、本当にすごい才能がある方だなと。「僕たちのシティポップ最高じゃない?」と思えました。

TeddyLoid:自分のキャラクターを守りつつ、楽曲によって違うアプローチをした歌い方をしてくれるので、すごく才能があるなと思います。

Carlos K.:シティポップって歌うのが難しいじゃないですか?

TeddyLoid:難しいと思います。

Carlos K.:雰囲気がすごく大事で、最初はどうなるんだろうと思ったんですけど、夕七さんは例えば息の含め方だったり空気感を作るのもすごく上手で、シティポップのムードを作ってくれたと思います。

夕七:ありがとうございます……!

――目の前で褒められると恐縮してしまいますよね(笑)。夕七さんはお二人と一緒に今回のプロジェクトに参加してみて、いかがですか?

夕七:プロデューサーの方に自分の歌をミックスしていただくのは初めてなので、曲が1曲1曲出来上がるたびに、「うわあ……!」っていう感じになるというか(笑)。このプロジェクトに関わらせていただけることをすごく嬉しく思います。

■『TOKYO CITYPOP CANDY』が目指す未来

――最後に、今後『TOKYO CITYPOP CANDY』をどのように盛り上げていきたいかを教えてください。

TeddyLoid:先ほどCarlosさんがおっしゃっていたように、このプロジェクトは世界中で聴かれていて、僕自身も海外での活動がメインなので、もっと世界に広げていきたいですし、もっと色々なクリエイターにリミックスしてもらっても面白いのかなと思います。今回オリジナル曲を作って、夕七さんの才能をさらに感じて「次はこんな風にしようかな」という構想もあるので、今後も楽しみです。

夕七:当時シティポップを聴いていた方々だけでなく、私と同世代の10代、20代の方たちにも『TOKYO CITYPOP CANDY』を通して、シティポップの魅力をどんどん届けていけたらなって思います。

Carlos K.:『TOKYO CITYPOP CANDY』では今後も、カバーもオリジナルもやっていくと思うんですけど、どちらも本当に良くて。シティポップって懐かしさも感じるのに、なぜか新しさを感じるというか、過去と未来が交差する雰囲気があるんですよね。それを皆さんに楽しんでいただくために、TeddyLoidさんと夕七さんと一緒に新しいものを作っていけたらなと思います。

■TeddyLoid
東京とLAを拠点に活動する音楽プロデューサー。18歳でMIYAVIのメインDJ〜サウンドプロデューサーとし て13カ国を巡るワールドツアーに同行し、キャリアをスタート。m-flo、中田ヤスタカ、ゆず、香取 慎吾など数々のアーティストとのコラボレーションを行い、2016年には「Spotify」にて、日本以外の海外で最も再生された日本人アーティスト第5位に選ばれる。
■Carlos K.
1985年12月28日生まれ。ブラジル出身。日本人の両親のもとブラジルで生まれる。Little Glee Monster、C&K、SixTONES、King&Prince、TaniYuukiなど多種多様なアーティストの楽曲に携わっている。2015年オリコン作曲家ランキング1位を記録。提供曲数は400曲を超える。西野カナやLittle Glee Monsterの楽曲で2度のレコード大賞受賞歴あり。
■夕七
2002年12月生まれ。鹿児島県奄美群島出身。2022年、ライブ配信アプリ「17LIVE」内で開催された大物アーティストによるオーディションに参加し、総勢3,000名以上の中から最終選考に進出。惜しくも受賞を逃すも、当時審査員を務めた関係者らに歌声を評価され、『TOKYO CITYPOP CANDY』のメインボーカルに起用された。