■芝居の相談すると“月影先生”になる姉

――平さんは11歳の頃に芸能活動を始められたと思いますが、お2人と過去の自分を重ねて感じることはありますか。

もう当時の私とは全然違います! ちゃんとお芝居というものを理解していて、しっかりしているなって。私は何も知らずにこの世界に入ってしまったので、「よーいスタート!」という合図で動くということも分かりませんでした。大治くんは7歳から活動を始めて、萌果ちゃんは生まれたときからこの世界にいるらしいので、英才教育を受けてきている感じですよね(笑)。

――平さんはお芝居について現場で学んでいったのでしょうか。

映画『奇跡』でデビューしたのですが、是枝裕和監督が子役に台本を渡さないというスタイルだったので、現場で「今こういう状況だから」とストーリーを聞いてアドリブで喋っていました。何も分からない私にはそれが良かったんですよね。その後台本をいただく現場に行くようになってからは、分からないことは全部お姉ちゃんに聞いていました。読み合わせをしてもらったり、「どうやって泣くの?」って聞いたり。お姉ちゃんは『ガラスの仮面』が大好きなので「とにかくこのシーンを強くイメージしなさい、あなたは仮面をかぶってこの役になりきるの!」って、いつも月影千草先生のように教えてくれていました(笑)。

――そのほか、お姉さんに救われたことはありますか。

このお仕事は楽しいけど、人前に出る分いろいろな意見が耳に入ることもあって。そんなときも、ポジティブな言葉をかけてくれるお姉ちゃんのおかげで前を向くことができます。姉に相談したら何でも解決してくれるんです。私もポジティブなんですけど、姉は比べ物にならないくらいのポジティブモンスターで、何度救われたか分からないくらいです!

■2年ぶりのファンとの対面は「親戚に会う感覚」

――ここからは平さんのほかのお仕事についてもお伺いしたいのですが、2月にはカレンダー発売イベントで2年ぶりにファンの方と交流されたということで、感想を教えてください。

私が中学生の頃から応援してくださっている方、昨年初挑戦した舞台で私を知ってくださった方、コロナ禍で興味を持ってくださった方、いろんな方が来てくれました。2年ぶりの対面イベントだったのですが、改めて人とコミュニケーションを取ることが好きだなと。こちらが覚えている久しぶりの方もいて、親戚に会っている感覚でうれしかったです。人ってルーツをたどると、きっと先祖は一緒じゃないですか。だから地球に住んでいる以上は、皆のことを遠い家族だと思っています(笑)。

■映画『恋は光』での受賞に皆で驚き

――昨年公開された映画『恋は光』では西野七瀬さん、神尾楓珠さん、馬場ふみかさんとともに「第44回ヨコハマ映画祭 2022年日本映画個人賞・最優秀新人賞」に輝きました。そのときの心境を教えてください。

監督や出演者の皆と「ビックリだね」と一緒に驚きました。東雲は浮世離れした知的な文学少女という役どころで、台詞量もすごかったし、普段使わないような言葉もたくさん出てきて苦労したのですが、こうして評価していただけてすごくうれしかったです。小林啓一監督がクランクイン前にリハーサルをしてくれて、撮影が始まってからもスケジュールに余裕を持って、1つひとつしっかりチェックしながら細かく丁寧に作ってくれたから、あんなに素敵な作品ができあがったんだと思っています。小林監督との出会いは私にとって大きくて、『恋は光』以降は今まで以上に「今のお芝居大丈夫だったかな」「あの現場で教えてもらったことを活かしてもう少し考えてみよう」と思い返すようになりました。

――では最後に『半熟ファミリア』の見どころを教えてください。

毎回美味しいお料理が出てくるので、夜10時30分という時間にお腹がすいてしまうかもしれないのですが(笑)、レシピも紹介するので、次の日の献立に役立てていただければと。私もドラマに登場したお料理を実際に自分で作ってみたのですが、本当に美味しかったです! あかりと朔太郎、楓子のコミカルなやりとりに笑いつつ、ホロっとしつつ、お料理を通して家族が熟成されていく姿にほっこりしていただけたらうれしいです。

■平祐奈
1998年11月12日生まれ、兵庫県出身。映画『奇跡』(11年)で女優デビュー。以降、映画『案山子とラケット~亜季と珠子の夏休み~』『ReLIFE リライフ』『未成年だけどコドモじゃない』『10万分の1』『その消失、』、ドラマ『JKは雪女』『まだ結婚できない男』『ひまわりっ! ~宮崎レジェンド~』などに出演。2022年はミュージカル『奇跡の人』のヘレン・ケラー役で舞台初出演。映画『恋は光』で第44回ヨコハマ映画祭 2022年日本映画個人賞・最優秀新人賞を受賞した。現在、出演ドラマ『ウツボラ』(WOWOW)が放送中。