松本潤主演の大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で、今川義元を父に持つ今川氏真役を好演し、称賛の声が続出している溝端淳平。26日放送の第12回「氏真」では、氏真が籠城する掛川城に徳川軍が攻め入り、家康と氏真が対峙するという最大の見せ場が描かれた。自身の過去の葛藤を氏真に投影しながら演じてきた溝端が、12回の舞台裏を振り返りつつ、今後についても言及した。
『どうする家康』は、『コンフィデンスマンJP』シリーズなどの脚本家・古沢良太氏が新たな視点で、誰もが知る歴史上の有名武将・徳川家康の生涯を描く物語。初の大河ドラマ出演を果たした溝端が、この第12回では氏真の苦悩を全身全霊で体現した。
「お芝居を作る上では、この第12回までをワンセットと考えて氏真役を作っていきました。3回では、有村架純さん演じる瀬名を襲うシーンなどもあり、そういうヒール的な面がありつつも、苦しんで苦しんで、苦しみまくる氏真を演じなきゃと思っていたんです。それは最終的に、きっと救いがある役だと信じていたからこそできることであって、そこがやはり大河ドラマを演じることの魅力かなと。着地点があるからこそ、思いきり振り切れたという感覚があります」
過去の回想と現在が交錯して描かれた第12回では、野村萬斎演じる亡き今川義元が氏真に「そなたには将としての才はない」と厳しい言葉を浴びせるシーンもあったが、「でも才能がないからと言って、ダメなわけではないというのが、自分の今まで俳優を続けてきた人生のなかで出した答えです。才能がないなら、ないなりに頑張ってやったらいいと。きっと才能がある人にはある人なりに悩みがあると思うけど、僕自身もないなりに頑張ってきました。もちろん今でも反省点ばかりではありますが」と述懐。
氏真の最後は痛ましくも非常に切なくて胸を打った。戦いで満身創痍となった氏真と家康は、最後に槍で勝負をつけようとするが、家康が瞬時に氏真のすきをついたことで即座に決着がついてしまう。
「台本を読んでいるし結末もわかっていましたが、家康が最後に現れ、槍によって一瞬で勝負がついた時、ほっとしている自分がいました。憎き家康は裏切り者だし『お前のせいで人生が狂ったんだぞ』というぐらいに思っていたはずなのに」
あっさり一撃を食らって勝負がついたことについては、「すでに肩をケガしていたし、1発で破れた方が良かったかなと。氏真自身は反撃する気もなかったし、ただただもう1回家康と向き合いたかったという意味の対峙だったかと。また、どんどん偉くなっていく家康と、もはや家臣も誰もいなくなってボロボロになり、1発でやられてしまう氏真との対比ですね。家康にとっても、かつて兄と呼んでいた人が、地べたを這いつくばって自決しようとしているからつらい。その対比をわかりやすく出すのも演出の狙いだったと思います」と自身も納得がいったと言う。