2週にわたって放送されると、SNSでは「攻めすぎ」「レギュラー化希望」「リヴァーさんで帯番組お願いします」など、肯定的な意見が占める好評ぶりで、TVerの再生回数も、関西ローカルの深夜番組でトップクラスに。放送枠の『るてんのんてる』公式Twitterのフォロワー数は、今回の企画の発表前が6,000程度だったのが、1万弱まで伸びた(※3月24日現在)。
「リヴァーフィールドがバラエティで大事なことを教えてくれる」というフォーマットは、今後も様々な企画を落とし込めることができそうだ。小池氏は「いくらでも続編が作れるパッケージなので、ぜひまたやりたいです」と意欲を示した。
■キー局の制作者が「ここまで突飛な企画はできない」
昨年4月から放送されている『るてんのんてる』は、「自分の企画で特番を作れる機会が東京の局と比べると少ないので、私も含めて制作の社員がみんな大変魅力のある枠だと思って取り組んでると思います」という位置づけ。
編成に企画を通して制作に入るのではなく、先に放送枠を割り当てられて企画を作っていく方式のため、「今回の『リヴァーフィールド―』も、普通の企画募集だったら絶対通らないような番組だと思うので、他の人の担当回も、これまで見えてこなかったディレクターの趣味趣向が分かって、面白いです」と、より制作者の個性が発揮しやすいスキームになっているそうだ。
具体的に、吉本新喜劇の師匠たちが演じ、梶裕貴らのイケてるボイスで声を当てるBLドラマ『俺たちだって恋をする』、存在しないマンガを語り合う『地下マンガをdigりたい!』、笑わせてはいけない恋愛リアリティショー『おもしろくなくても好きですか?』といった企画が生まれ、在京キー局の制作者からは「うちだと、ここまで突飛な企画はできない」という感想もあった。
制作された番組を見るフットボールアワーの存在も大きいそうで、「第一線でご活躍されているので、みんな自分の担当回の際は、どんなリアクションや評価をされるのか、とても緊張します。ただ、もし企画が不完全であっても、VTRに不出来なところがあっても、フットさんが面白くしてくれる安心感があるんです」とフルスイングを受け止めてくれる土壌があり、同枠は4月以降も編成される。
最近は、キー局を中心にこうしたトライアル枠を増強する傾向にある。また、若手制作者が活躍して名前が知られる機会も増えており、大きな刺激になっているという小池氏。
「年次もほぼ同じのフジテレビの原田和実さんの『ここにタイトルを入力』、テレ東の大森時生さんの『Raiken Nippon Hair』はもちろん見ましたし、『火曜NEXT!』(フジテレビ)、『テレ東若手映像グランプリ』、『バラバラ大作戦』(テレビ朝日)もほぼ見ています。みんな面白いし、どんな会議をしたんだろうと気になりますね。『ここにタイトルを入力』も『Raiken Nippon Hair』も、話題になった要因の一つが、東京のテレビ関係者のSNS投稿や口コミだったと思うので、この記事がきっかけとなって“関西でもこんな番組作ってるんだ”と知っていただき、見てもらえたらうれしいです」
●『るてんのんてる』(毎週金曜24:30~ ※関西ローカル、放送後TVerなどで見逃し配信)
フットボールアワーの“のん”こと岩尾望と“てる”こと後藤輝基が「見届け人」となり、読売テレビのディレクター総勢25人がこれまで温めてきたこん身の企画を放送するトライアル枠。1人のディレクターが企画内容や出演者を自由に決め、2週ずつ担当する。
●小池洋平
1994年生まれ、宮崎県出身。中央大学法学部在学中にBiSHのマネージャーを務め、卒業後19年に読売テレビ放送入社。営業を経て、2年目で制作に異動し、ドラマ『ボクとツチノ娘の1ヶ月』(21年)、バラエティ『本気を出しちゃってもいいかしら?』(22年)と単発番組をプロデュース。レギュラー番組では『大阪ほんわかテレビ』『カミオト夜』などを担当する。