4月3日から放送がスタートするNHKの連続テレビ小説『らんまん』で主演を務める俳優の神木隆之介。彼が演じるのは高知県出身の植物学者・牧野富太郎をモデルにした人物だ。そんな神木が「奇跡の県」と名づけた高知県の魅力を存分に伝える神木流ガイドブック『かみきこうち』を上梓する(3月20日発売)。神木にとっては2012年公開の映画『桐島、部活やめるってよ』の撮影で赴いて以来、約10年ぶりとなる高知。この10年間で、さまざまなことを経験した神木だが「僕は何一つ変わっていない」と断言する。そこには神木自身が追い求める人間像があるようだ。

  • 神木隆之介

高知県を題材にした本書を出すきっかけとなったのが朝ドラ『らんまん』だ。本作で神木は、高知県高岡郡佐川町出身の植物学者・牧野富太郎をモデルとした槙野万太郎という男性を演じる。

「朝ドラで高知出身の牧野さんをモデルとした人物を演じることになったのが、大きかった。以前『桐島、部活やめるってよ』の撮影でも、高知県には行ったのですが、そのときは、撮影現場とホテルの行き来だけで、正直まったく高知県という場所に触れることがなかったんです。逆に言えば、だからこそ、今回また高知を訪れることになったので、自分自身でも高知県という場所を知りたいという思いが強くなりました」

さまざまな資料などで牧野さんという人物の情報をインプットしていたという神木。大まかなイメージはできたものの、字面だけではつかめない部分も多かった。だからこそ、本書で高知県に行けたことは、かなり大きかったという。

「資料などで得た情報を土台にしていこうとしていたのですが、実際にお会いしたこともない方なので、やっぱり分かりかねる部分があったんです。でも今回高知県に行ったことで、県民の方が、博士のことをどう思っているのか、さらに高知の人のテンションや話し方など参考になることがとても多かった。高知の方はとても豪快で、楽しいことが大好きな人たちばかり。役作りの方向性としては、とても参考になりました」

『桐島、部活やめるってよ』の撮影以来、約10年ぶりの高知県。しかし、当時の撮影で、高知のことを知ることはまったくできなかったという。

「『桐島』のときは、本当にホテルと現場の往復だけだったので、高知で撮影しているんだということを実感する機会が全くありませんでした。でも(仲野)太賀は僕よりも先に高知に入っていたので『桂浜楽しかったよな』とか言っていて、僕以外は思い出があるみたいです(笑)」

そんな話を聞いて「寂しかった」という神木だが、逆にまったく先入観がなかったので、本書籍を作る際には、新たな気持ちで高知の良さを思う存分感じられたという。

「印象に残っているのは、手すき和紙作家のロギール・アウンテンポーガルトさんとの対談です。咲いている花を摘んで、それをもとに和紙を作ったり、しおりを作ったりすることができるんです。すごく楽しかったし、どこか『らんまん』っぽさも感じることができました。高知はなかなか県の予算がないらしく、限られたお金でどうやって面白いことができるのか――という発想でみんな知恵を出し合いながら活動していると聞きました。だからこそ他県ではない、高知ならではの個性的なものがたくさんあるのだと思います」