2023年3月8日、Apple丸の内のToday at Appleにて「国際女性デー」を記念したトークセッション「高尾美穂医師に学ぶ女性の健康とApple Watch」が開催されました。
会場には高尾先生のファンをはじめ50人の女性が参加、また同時に行われたオンライン配信には250人が参加し、熱のこもった拍手でセッションが始まりました。
Apple Watchを使った健康管理
高尾先生ご自身もApple Watchをお使いで、特に興味を持っているのは「睡眠」だそうです。自分が意識できない時間に、自分がどうなっているのか。確かに気になりますね。
良い睡眠は、次の1日を良くする条件
高尾先生 睡眠の時間が何を産むかといったら、次の日の起きている時間への影響なんですね。ガッツリ眠れたらそれだけでご機嫌に過ごせるはずなんです。眠る時間を良くすることで、次の1日が良くなる、そういう考え方が持てるんですよ。
高尾先生 多くの人にとって、睡眠時間は1日を好きに生きた残りの時間になっているんです。意識できない時間だからおろそかにしちゃうんですけど、私たちが良い活動の時間を過ごすためには、眠っている時間を良くすることがものすごく大事な条件なの。だから、24時間のスタートを眠るところにする。これが就寝準備になっているんですね。
困った状況になる前に、できることがあると伝えたい
続いて「周期記録」です。医師の立場から、単に生理周期を知るためだけでなく、その他の症状も含めて記録を続けることが非常に大切だというお話が繰り返し伝えられました。
高尾先生 女性の人生を広く眺めると、それぞれの年代にいろんな困り事が起こるとある程度わかっているんだけども、私たちはけっこう、すごく困った状況になってからどうしようと悩んだりするんです。私がこういう場でお話しするのは、すごく困ってから外来に来るよりも前に、できることがある、知っておくといい方法があると伝えたい思いが強いからです。
高尾先生 痛みや辛さは人と比べなくていいんです。生活上支障があれば、それは月経困難症という診断名がつくの。検査で異常があるかどうかじゃなく、生活上支障が出ていること自体が、解決すべき課題なんです。
「我慢することはもったいない」という高尾先生。少しでも調子良く過ごせれば、苦しんでいる間にどれだけのことができるか。それを考えると、医師へ相談するのは意味のあることです。そこで重要になるのが記録です。
高尾先生 外来のエコーや子宮頸がん検査でわかる”つくり”の問題だけじゃなく、”はたらき”の問題もあるんですよ。それは、私たちがその人と対面したその場でわかる情報ってほとんどないわけ。それ以前がどうだったかわからない限り、医師の推測になっちゃうんですね。
Apple Watchは「人生を共に走っていく」存在
健康は誰にとっても大切な問題です。これからの社会では、ある程度自分の健康を把握することが必要になると高尾先生は言います。
高尾先生 これからは、(人口減少や医療機関の統廃合によって)日本の中で医療機関にすぐアクセスできない場所も出てくると思うんです。そうなると、自分の健康状態をある程度把握しておくことは絶対に必要なんです。記録の変化に気付くことで、じゃあ相談してみようと。(記録が)生きたい人生を生きるベースになる、という考え方になると思います。(Apple Watchは)人生を共に走っていく、そういうイメージかなと思います。
ここからは、高尾先生のアドバイスをもとに、「記録をつける」ことの意味と活用法について掘り下げていきます。