「最後まで誰1人欠けることなく元気で完走できた」という共演者への思いについても聞いた。

「神田さんは、公私にわたって相談に乗っていただいているお兄ちゃんのような存在。仕事のことよりプライベートのことのほうが多いぐらいです。何が食べたいというと連れて行ってくれたり、車屋さんを探していると言えば、懇意にしている車屋さんを紹介していただいたり。そして不思議なのは、これだけ独身同士で一緒に仕事しているのに、一度も浮いたウワサが立たないこと! おかしくないですか? 一時期、神田さんと同じ車種で同じ色の車に乗っていたこともあるんですよ。もちろん偶然! その同じ車が2台連なってロケ現場へ行き、食事のときもそこから降りて一緒にお店に入る。なのに、誰からも疑われなかったの(笑)」

さらに、片平が香港へロケに行った際、現地の占い師に見てもらうと、「あなたは来年結婚します。その人はもう現れています」と言われたという。スタッフらと誰だろうと議論するも「考えられるのは神田さんしかいないよね」という結論(?)で幕を閉じたが、その帰りの飛行機で、新聞に神田の名を見ることになる。なんと、違う女性とのスキャンダルが報道されていたのだ。

「もう、本当に短い夢(笑)。大笑いでしたよ。帰って神田さんに言ったら、笑いながら“これは違うんだよ”と説明されてましたが、そんなやり取りもまた楽しい。神田さんは永遠のお兄ちゃんです」

  • (C)フジテレビ

■自分の登場シーンしか台本を見ない大村崑

大村崑については、「師匠(大村)はレギュラー陣の中で一番元気で一番年を取らなかった人。いつも現場を盛り上げてくださり、本当に頭が下がりました。あんなにお元気な方はこれまで会ったことがない。しかも師匠のシーンってほとんどワンシーンワンカットなんですけど、NGを出さないんです。そんな難しいことをいとも簡単にやってのけるのが師匠です」と紹介。

そして、「実はね、自分が登場するシーンしか台本を見ないんですよ。それにはわけがあって、台本を読まないほうが放送が楽しいと。放送をこよなく楽しみにしている一番のファンなんですよね。実際、秋山さん(大村)は事件に関わらないので、事件を知る必要がないんですよ。だからリアルにもなる」と、裏話を明かしてくれた。

大村といえば、オロナミンCのCM。筆者は過去に大塚製薬を取材したことがあったが、大村は現在も毎日オロナミンCを飲んでおり、“オロナミンCのCMをしていたから元気じゃないといけない”と使命感を持っているそう。片平が元気の印象を抱くのも納得だ。

また、山村紅葉についても、「もみちゃんはプライベートでも食事に行く仲なんですが、話題はもっぱらダイエットやアンチエイジングの情報交換」と、仲睦まじさがうかがえる。そんな彼らが一堂に会するのもこれが最後だ。

「私がデビューして今、48年。『赤い霊柩車』シリーズはそのうちの30~31年になるのでその大半を占めていますよね。そう思うと、今自分がこうしていられるのも『赤い霊柩車』シリーズの力は大きかったし、感謝しかありません。もう終わってしまってから言うのもなんですけど、もっともっと大事にすれば良かった…。当たり前のように毎年やってきたので、今となっては本当に人生、世の中、当たり前のことってないんだなとつくづく感じさせられています」と、しみじみ語る片平。彼女にとってのライフワークである作品の大団円を楽しみにしたい。

  • (左から)山村紅葉、大村崑、片平なぎさ (C)フジテレビ

●片平なぎさ
1959年生まれ、東京都出身。『スター誕生!』(日本テレビ)に合格し、75年に歌手としてデビューし、同年公開の映画『青い山脈』で女優デビュー。『山村美紗サスペンス 赤い霊柩車』(フジテレビ)のほか、『小京都ミステリー』(日テレ)、『子づくり旅行』(テレビ朝日)など、各局の2時間ドラマで主演シリーズを持ち、「2時間ドラマの女王」と呼ばれる。現在はドラマ『罠の戦争』(カンテレ)のほか、バラエティ番組『坂上どうぶつ王国』(フジ)にレギュラー出演する。