• りっちゃん(右)とクインの客 (C)フジテレビ

実は自身にも、二丁目によく通っていた店があったのだそう。「そこはゲイのママさんがいて、りっちゃんと同じように話を聞いて、寄り添ってくれて、時には突き放して怒ってくださって。それは私のことを思ってこそという愛情を感じるから、怒られてもまた翌週に足を運んでしまうお店でしたが、そのことをふと思い出して、懐かしいなと思いながら見ていました。新宿界隈で飲み歩いて、最終的に行き着くのが二丁目。朝5時までと言いながら、居る限り営業してくださるから、気づけば2日がかりで飲んだりする日も少なくなくて。ママさんが門倉有希さんの『ノラ』を歌うのがとても上手だったんですよ(笑)」と回想しながら、「これを機に、久しぶりにそのお店に行きつつ、クインの朝7時の朝ご飯を食べにいこうかしらと思いました(笑)」と、ハシゴ欲が湧いたようだ。

そんな吉田に“二丁目”の魅力を聞くと、「みんなどこかすねに傷を持った人々が集まっているからこそ、同じ傷を持つ人を嗅ぎ分ける力が他の街よりも強いというイメージがあります。だからこそ吸い寄せられていくけど、生意気な覚悟で訪れるとピシャっとやられてしまうんじゃないかな」と表現。

それを踏まえ、「清濁併せ呑む人々を50年以上見てきたりっちゃんだからこそ言える言葉が、本当に胸に響いてくるんです。言ってることがシンプルなんですよね。だから、“いろいろ考えずに、シンプルに生きなさい”と言われたような気持ちになりました」と、改めてエネルギーを受け取った。

■ナレーションは「思わず感情が入りがち」に

慣れ親しんだ街が舞台だけに、ナレーション収録は「思わず感情が入りがちになってしまっていたので、なるべく客観的に、視聴者の方の感情を邪魔しないように読もうと意識しつつも、やっぱり無意識に感情が乗ってしまう部分がありました」といい、「そこは動画とナレーションが一体となったグルーヴ感として伝わればいいなと思います」と期待。

その上で、「新宿二丁目の名物ご夫婦のお客様への深い愛情と、お互いの夫婦愛、その2人に触れて心が救われていくお客様を見ながら、いつしか自分の心もフッと軽くなるような本当に温かい回だと思いますので、前後編じっくりとご覧になっていただきたいと思います」と呼びかけた。

●吉田羊
福岡県久留米市出身。小劇場で女優としてデビューし、ドラマ『HERO』(14年)でブレイク。『コウノドリ』『真田丸』『コールドケース~真実の扉~』『恋する母たち』『ペペロンチーノ』『妻、小学生になる。』などのドラマ、『ハナレイ・ベイ』『記憶にございません!』『沈黙のパレード』『マイ・ブロークン・マリコ』『イチケイのカラス』などの映画に出演。現在は映画『Winny』が公開中のほか、4月スタートのドラマ『ラストマン-全盲の捜査官-』、来年放送のNHK大河ドラマ『光る君へ』が控える。