円谷プロのウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンデッカー』最終回の“その後”を描く長篇新作映画『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』(監督:武居正能)が、「TSUBURAYA IMAGINATION」でオンライン配信&全国劇場にて公開中である。テレビシリーズ最終回から1年後、ふたたび地球を襲う未曽有の脅威に対し、エキスパートチームGUTS-SELECTの「最後の戦い」が描かれる。

映画公開を記念して、ウルトラマンデッカーに変身するGUTS-SELECTのアスミ カナタ隊員を演じる松本大輝にインタビューを敢行。明るくお調子者、面倒見がよく優しいカナタのキャラクターそのままの好青年である松本に、『ウルトラマンデッカー』という作品の魅力や、劇中のGUTS-SELECTと同じく強い絆で結ばれたキャスト陣、スタッフへの思い、そして『デッカー』の集大成というべき映画の見どころについて語ってもらった。

  • 松本大輝(まつもと・ひろき) 1999年生まれ、北海道出身。2018年に第31回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリに選ばれ、芸能界入り。2019年に俳優デビュー後、NHK連続テレビ小説『エール』(2020年)などに出演。『ウルトラマンデッカー』のアスミ カナタ役でテレビドラマ初主演を果たす。 撮影:大門徹

――『ウルトラマンデッカー』の撮影に入ったばかりのころと、最終章となる映画の撮影が終わったあとで、松本さんの心境はどんな風に変化しましたか。

ヒーローは「特別な人」がなれるものだと思っていたので、カナタのような「せんべい屋の息子」=ごく平凡な若者がウルトラマンになるという『ウルトラマンデッカー』は、僕の思っていたヒーロー像とぜんぜん違いました。撮影を通じて、ヒーローは特別な人だけがなるんじゃない、普通の人間でもなれることがわかりました 

――ムラホシ隊長(演:黄川田雅哉)から「努力の天才」と称えられるカナタですが、松本さんとカナタとの共通する要素なんてありますか?

撮影の終わりごろになると、共演者のみなさんやスタッフさんから「すごく顔つきが変わったね」と言われるようになりました。半年の撮影期間でしたが、途中から「こういうところがよかった」と、良い部分を伝えていただけることが増えて、それを励みに頑張ったところがあります。半年間、大勢の方々に支えられてきたことをしみじみと実感します。

――2022年7月から放送が始まった『ウルトラマンデッカー』テレビシリーズは毎回好評で、SNSのトレンドワードに”ウルトラマンデッカー”の名が上がることが多くありました。これについて松本さんはどう思われましたか。

毎週、ファンのみなさんと同じタイミングで僕たち出演者もオンエアを観ていましたし、トレンドに『ウルトラマンデッカー』が出てくるとめちゃめちゃ嬉しかったです。たくさんの方々が楽しんでくださっているんだなと、そのとき強く感じることができました。また、日本だけでなく海外のファンのみなさんが配信でご覧になっていることに驚き、すごく感謝の気持ちを抱いています。世界じゅうから愛してもらえる『ウルトラマンデッカー』は、とても幸せな作品なんだなと思います。

――昨年暮れから今年のお正月にかけ、東京ドームシティで『ウルトラヒーローズEXPO2023 ニューイヤーフェスティバル』が開催されました。松本さんもカナタ役で出演され、大盛況を収めましたが、子どもたちと実際に対面することのできるこういったイベントに出演されて、どんな思いを抱かれましたか。

ステージから、子どもたちの興奮している顔がはっきり見えて、とても嬉しかったです。2022年夏はウルサマ(ウルトラヒーローズEXPOサマーフェスティバル)にも出演しましたが、そのころはまだテレビ放送が始まったばかりの『デッカー』より『ウルトラマントリガー』(2021年)を応援する子どもたちが多かったように感じていました。ですが、『ニューイヤー』のときには『デッカー』ファン一色!という感じで、子どもたちからの熱い視線に感動したんです。ステージと客席との距離が近かったのもよかったです。子どもたちのすぐ近くに駆け寄ると、新型コロナ対策でほんとうは声を出さないようにしているのに思わず「カナタ!」と声が出てしまう子もいて、とても可愛かったです。ショーの中で、カナタはヤプール人と戦ってピンチになるんですけど、そんなとき、子どもたちが心の底から心配してくれるのがわかるんです。一生懸命応援してくれる姿を観たら、感動して泣きそうになりました。イベントでは、とても楽しい時間を過ごすことができました。

――映画では、最終回から1年後のGUTS-SELECT隊員たちの姿が描かれます。1年立って成長したカナタをどのように演じようと思いましたか。

1年が過ぎても、カナタ自身の心はぜんぜん変わっていないと思って芝居をしています。後輩の訓練生に教えたりもしているけど、そこはカナタが「調子に乗っている」感じで(笑)、自分の置かれている環境が変わったとしても、カナタ自身は基本何も変わっていないんです。この状態からカナタが変わっていくのか、それとも変わらないままなのか。それは映画を観て確かめてほしいです。

――謎の女性ディナス(演:中村加弥乃)を守り、カナタも宇宙人軍団とかなり激しく戦っていましたね。

テレビシリーズの最終回でカナタはデッカーに変身する力を失ったので、映画ではひとりの隊員として仲間と共に戦っています。そのため、今回はアクションが多く、大変でした。映画ではディナスのアクションも激しかったですし、ムラホシ隊長もカイザキ副隊長(演:宮澤佐江)もアクティブに活躍しています。みんなで悪い宇宙人に立ち向かいますので、スピード感のあるアクションに期待していてください。

――最終章ではリュウモンが落ち込んでしまう珍しい場面も観られました。

感覚的にはカナタと同じくリュウモンもイチカも変わっていないと思っていますが、状況によってはいろいろプレッシャーとかが出てくるんですよね。映画では、テレビシリーズとは一味違ったカナタとリュウモンのやりとりがあるので、そこにも注目してもらいたいです。

――テレビシリーズでは主にカナタ、リュウモン、イチカの3人での行動が多かったですが、そこにディナスが加わって、何か変化がありましたか。

ディナスを演じる(中村)加弥乃さんとノブ(大地)が共演していた番組を観ていたので、最初は「加弥乃さんが出演される!?」とびっくりしました。とても良い方で、すぐにみんなと打ち解けていました。一緒に撮影していても、4人でいることがすごく自然に感じられ、さらにいいチームになったなと思いました。