――今作ではまたぐっとストーリーに踏み込んでいくことになると思いますが、内容としてはいかがですか?
安井:原作CDのドラマトラックにある流れをくんでいるし、けっこう山場でいろんなことが判明していったりするパートでもあって、スピード感があるので、観てくださる方にも楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
坂田:僕たち3人の関係にも踏み込んでいく話になると思います。1度3人でライブ(『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage《Rep LIVE side F.P》)としてステージに立って感じたことも重なって、それぞれの心情とキャラクターの心情と合わさり、うまく表現できるんじゃないかと思っているんです。
安井:ストーリーとしても、かなり進むんじゃないかな。そこがドキドキワクワクするよね。
滝澤:内容的にもシリアスで、メインのストーリーを深掘りする物語になると思う。そこに楽曲の強さとか、『ヒプステ』の強さも混ざって行くので、化学反応を見せたいです。これまでに上演されていた《どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!》も、《Bad Ass Temple VS 麻天狼》も、内容としては結構複雑だったんだけど、バチバチにやり合っているのを感じたんです。初演から持ってるパワーはずっと持ち続けていると思うので、さらに進んでいくストーリーを届けていきたい。
坂田:やっぱりライブを1本乗り越えたということが、僕個人としては大きいです。一緒に積み上げてきて、作り上げたものを皆さんにお届けできたという達成感があるし、その先の展開も考えられるようになりました。ライブが終わった後に、次回の舞台が楽しみだと思えたし、3人でのお芝居を届けられるのが初めてのことになるので、早くお見せしたいです。
■キャラクターへの愛情が生まれたことが新鮮
――改めての話になりますが、キャラクターを演じることについて、どのように感じているか教えてください。
坂田:僕は2,5次元の舞台に立つのが2回目なんですが、キャラクターとお芝居を結ぶ点が大事だなと感じていて、夢野 幻太郎と坂田隆一郎の言動が全く繋がってないと、成立しないと思っているんです。芝居心を忘れずに、でもキャラクターとしてステージに立つことを常に心がける。幻太郎としてはやっぱり一つ一つの嘘が楽しくて、でも実際に演じる方はめちゃくちゃ悩んだり考えたりしているんですけど(笑)。表現としてはシンプルにわかりやすく、なるべく”素直な嘘”として伝えていくのが、実は1番難しいところなので、今回も頑張りたい。ライブ公演でも、途中からお客さんに嘘をつき出したり、ポッセの2人に嘘をついたりできるようになってきたので、幻太郎としての嘘が出ることを楽しみつつ、しっかりヨコハマと対峙していきたいです。
安井:すばらしい(拍手)。僕は、初めて2.5次元舞台に出演したのが『ヒプステ』なんです。-track.1-から観客として観ていたので、もともと乱数のキャストだったセコくん(世古口 凌)のすごさも知っていたし、原作へのリスペクトと、前キャストへのリスペクトが二重にあったところからのスタートでした。キャラクターが存在する役を演じるのも本当に初めてで、演じるにあたって原作のヒプノシスマイクを知って、『ヒプステ』の他の公演も観せていただき、脚本を読んでいく中で改めて『ヒプノシスマイク』という世界の深さを知って。そうしたら、すごく乱数のことが好きになって……キャラクターに対しての愛情が生まれるというのが、新鮮でした。普段活動している時は自分以上でも以下でもないから、別に、愛す存在がないんですよ! でも乱数に対して愛情が深まるのは新しい感覚だったし、より「もともと乱数が好きな方に失礼のないような愛情を持って挑まないと」と感じています。
――ちなみに世古口さんとお話される機会もあったんですか?
安井:1回7ORDERのライブを見に来てくれて、ご挨拶しました。これまでの乱数の姿を見てもずっと素敵だなと思っていましたし、かわいかった。植木豪さんと高野洸くんと一緒に来てくれたんですけど、最初「女の子!?」と思ってすごく驚いたことがあるんです(笑)。それくらいかわいかった。
――滝澤さんはずっと帝統を演じ続けて来て、どのように感じているんですか?
滝澤:2.5次元に限らないですが、そのキャラクターを愛してくれているお客さん以上に想像力をもって、キャラクターに接することが大事だと思っています。僕が初めて参加させてもらった-track.2-の時は、『ヒプノシスマイク』のアニメ版も放送されていなかったので、動き方も想像しながらやるしかなかった。ただ、その中でお客様一人ひとりが心に持っている正解を考えてしまうとキリがないので、もう自分たちが1番愛を持って「こういうことなんです」と表現できるよう、芯を持って演じるようにしていました。「想像力や愛を持つこと」って、抽象的に聞こえるかもしれないけど、そういう気持ちを持つのが大事なんです。
――滝澤さんから見てのお二人はどうですか?
滝澤:完璧です、本当に! 非の打ち所がないんで、「完璧」という文字を辞書で引いたら、「安井謙太郎」と「坂田隆一郎」と書いてあるんじゃないかというくらい。もう、僕の個人辞書にはそう書いてあるんです!
安井&坂田:(笑)
滝澤:僕はずっと作品に触れ続けてきた分、どんどん視野が狭くなっていってしまっていたんじゃないかと思って、本当に感謝しているんです。もう「これだ」と思ってやっていたけど、意外と2人から「これもいいんじゃないかな」と新しい角度の意見をたくさんいただけたことがすごく新鮮で、解釈もさらに深まったというか……本当にありがとうございます。いやマジで、本当に。
安井:この人、本当に「違うな」と思った時は、そういう顔するんです(笑)。だから、そういう正直な人に、今みたいなことを言ってもらえるというのが、刺さりまくってます。こう言うと冗談っぽいですけど、僕としてはぶっ刺さるところがありまくるくらい素直にうれしくて……。
滝澤:そうかも! 思ってることが出ちゃうから。
安井:諒ちゃんは、自分がなにもかもきちんとやっている分、言うことにすごく説得力があるんです。
滝澤:初めて3人でがっつりライブをしたということも大きかったと思うんですが、キャラクター同士の絡み方やからかい方のバリエーションも増えました。素直に「乱数のこういうあおり方、いいな!」とか、「幻太郎のお客さんの乗せ方、いいな!」とか、ワードチョイスも「2人がそういう感じでくるなら、俺もこういう言い回しをしてみようかな」みたいなことを考えさせられ、自分の中での引き出しも増えました。
――素敵な関係ですね。最後に改めて、今作の見どころ、意気込みをいただけたら。
安井:『ヒプステ』って、-track.1-からずっとすごい挑戦を続けていると思うんです。僕は最初観ている方だったけど、照明も演出もすごい迫力だったし、《2nd D.R.B(ディビ ジョン・ラップバトル)》に突入して、また新たなフェーズに入っているのだと思います。視覚や聴覚に対して刺激的で高まるエンタメ性と、さらに深まったストーリーやメッセージが乗っかって、パワーアップしているのを感じます。個人的には、やはり楽曲の力もすごいなあと。ヒップホップの文化を踏襲して、原作へのリスペクトをもって楽曲のフレーズを使ったり、裏メロで原作の楽曲のメロディーが入ってきたり、ファンの方にも楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。キャストだけじゃなくて、スタッフの方、関わる全ての方が『ヒプノシスマイク』という作品にリスペクトと愛を持って作っているので、本当に心強い。新しいパワーアップした『ヒプステ』をお届けして皆さんに楽しんでいただけるように、僕らも力を尽くしていきます。
■安井謙太郎
1991年7月21日生まれ、神奈川県出身。2019年に発足した7ORDER projectのメンバーとして活躍する。主な舞台出演に舞台『7ORDER』(19年)、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stageシリーズ(22年~)、東映ムビ×ステ『死神遣いの事件帖』シリーズ(20年~)など。映画『嘘の起源「ホワイト ライ」』が2023年に公開予定。
■坂田隆一郎
1994年5月15日生まれ、福岡県出身。2014年より芸能活動を始め、現在はソロアーティストや男女混合歌唱グループ・Love Harmony's, Inc.のメンバーとしても活動。主な出演作に劇メシ『パセリがすねた』(21年)、Live Musical「SHOW BY ROCK!!」シリーズ(21年~)などがある。
■滝澤諒
1998年2月14日生まれ、神奈川県出身。2008年に劇団四季「ライオンキング」ヤングシンバ役で本格的にデビュー。以来さまざまな作品で活躍。主な出演作にミュージカル「スタミュ」シリーズ(17年~)、リアルファイティング『はじめの一歩』The Glorious Stage!!(20年)、舞台「SK∞ エスケーエイト The Stage 第1部:The First Part ~熱い夜のはじまり~」(21年)など。