原作は長く愛されており、ファンも非常に多い。岡本プロデューサーも脚本を担当する森下佳子氏も原作のファン。そんな作品を映像化することは、大きなプレッシャーでもあったようだ。
「人気の作品なので、しっかり受け入れていただけるのかという不安はありました。実写なので物理的な制約もある。そんななかで、それぞれの将軍が抱える困難や悲しみが違うので、その部分は大切に表現しようというのはベースにありました。今回は最後まで描こうという思いがあったので、長い歴史のなかで、それぞれの人物が思いを繋いで届けていくためには、どんな構造がいいのか。その意味で、吉宗が村瀬正資(石橋蓮司)に話をするという実写ならではのオリジナルパートも入れました」
大胆なキャスティングや、人物に寄り添った丁寧な作品作りは、多くの視聴者の心をつかんだ。
「冨永愛さんの暴れん坊将軍が格好いいというご意見や、水野祐之進役の中島裕翔さんの健康的な若々しさや清々しさなど、放送がスタートすると好意的な意見を多数いただきホッとしております」
長い原作を「最後まで」と意気込む製作陣。岡本プロデューサーは「大政奉還まで行きます」と断言し、シーズン2の制作についても言及した。
「家光から始まった男女逆転の世界。江戸幕府が終わって世が移り変わっても志や思いが繋がっていくというのがこの作品のメッセージ。現在シーズン2の脚本の執筆をしていただいています。放送は2023年のうちにご覧いただけるような形で現在準備を進めています」
男女、ジェンダーというテーマだけではなく、社会というものがどう助け合っていくのか――という深いテーマまでたどり着きたいと話していた岡本プロデューサー。壮大な物語はまだまだ続く。
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