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今作には、野田プロデューサーの“ある問題提起”も込められているという。「昨今言われている『“効率”だけが重要視されてもいいのか』ということを、このドラマで描いていきたいと思ったんです」

そこで、主人公の柊木(北川景子)は、“法”より“人”を学ばせるという、ある意味“非効率”な女性として描き、対となるように藍井(山田裕貴)は、司法試験に合格させるためだけの“効率”のキャラクターとして配置している。

「藍井が『早く起案をまとめろ』といった指示を出すのに対して、柊木はいつも『みんなはどう思う?』という問いかけをしていますよね。そのことで学生たちは『そんなことに意味があるのか?』と考えていくうちに気付きを得るというのも一つの正解でしょうし、かといってやっぱり司法試験に合格しないと次はないという藍井の意見もまっとうだと思います。その2人が、この現代の効率・非効率というところにすごくマッチしていると思っていて、どちらも欠かせないものだし、役割を補い合うことが大事なんじゃないかと思いながら作っています」

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そんな様々な思いが込められた物語は、どのように作られるのか。

「毎回登場する事案については実際にあるものをモチーフにして、少し改造しながらやっていくパターンもありますし、2話の“タトゥーの入浴拒否”のお話は、5人の価値観をぶつけさせる議論をするためにどういったものが一番いいだろうかと考えて作りました。タトゥーに批判的な人もいれば、友達にタトゥーの人もいるから平気という人もいて、意見がバラバラに分かれると思うんですね。そういったことを、柊木を通じて学生たちが一緒に考えるというところに行き着きたいと思ったんです」

脚本協力にはロースクールの出身者が参加しており、「もちろん監修の方にも入っていただいているのですが、おととし(フジテレビ)ヤングシナリオ大賞の佳作を取った伊吹(一)くんがロースクールの卒業生で脚本家へ転身したという特殊な経歴を持っていて、彼からも取材をしたり、ロースクールの現状を聞いたりすることで、リアリティーを追求しています」と、独特の体制を組んでいる。

■柊木たちが風見にどう向き合っていくのか

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最後に、終盤へ向けての見どころを伺うと、「皆さん、尾上松也さん演じる風見が気になっていると思います。1話から少しずつ描いていますが、ある事件の判決に不服を持っている風見という人間に対し、柊木を含めて藍井や学生たちがどのように向き合っていくかというところが、大きな部分になってきます」と予告し、それと同時に、「藍井がなぜああいう考え方になったのか。彼の人生観みたいなところが見どころかなと思います」と紹介。

13日放送の第6話では、学生たちに嫌がらせをしていた“crow”の物語が完結したかに見えたが、「第6話で完結したであろう事件が、さらにその奥がある…というようなこととか、隅々まで見ていただけるとヒントがいっぱい隠されているので、ぜひ注目していただきたいと思っています」と呼びかけた。

そんな縦軸の物語や、学生たちが司法試験に合格できるのか?など、今後の展開や結末はもちろん気になるところだが、このドラマの本質は、どれだけ“人”に思いを寄せられるか。その部分をいかに丁寧に、ドラマチックに描いてくれるのかを楽しみにしながら、最終回まで学生たちと一緒に学んでいきたい。

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●野田悠介
1985年生まれ、愛知県出身。関西学院大学卒業後、08年にフジテレビジョン入社。1年目で『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』に関わって以来、『グッド・ドクター』『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』、『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』など多くの医療系ドラマのディレクター、プロデューサーを担当。月9では『ナイト・ドクター』『競争の番人』も手がけた。