女優の北川景子が主演するフジテレビ系ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(毎週月曜21:00~)。裁判官からロースクールへ派遣され教鞭に立つことになった主人公が、未来の法律家を目指す学生たちとともに成長していく物語だが、司法試験に合格するための “法”だけでなく “人”を学ぶがテーマとなっており、毎回の出される課題を生徒たちとともに考え、視聴者も授業を受けているような感覚が味わえる新しいリーガルドラマに仕上がっている。
プロデューサーを務めるのは、これまで『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』や『ナイト・ドクター』などを手がけてきた野田悠介氏。物語に込めた思いや、終盤への見どころを聞いた――。
■法律家を目指すきっかけになってくれたら
放送枠の「月9」では、検事が主人公の大ヒットシリーズ『HERO』(木村拓哉主演、01・14年)を皮切りに、弁護士の『SUITS/スーツ』(織田裕二主演、18・20年)、『元彼の遺言状』(綾瀬はるか主演、22年)、そして裁判官の『イチケイのカラス』(竹野内豊主演、21年)など、“法曹三者”を描いたヒット作がある。
今作は、その前段階である司法試験の合格を目指すロースクールを舞台にしているが、野田Pは「『HERO』や『イチケイのカラス』などは、真相解明の“真実は何だ”みたいなところが視点にあったと思うんですけど、そこに至るまでに法律家の人はどういうことを学んで、どうやって良い法律家になっていくんだろうと疑問に思ったのがこのドラマを作ったきっかけです」と企画の経緯を語る。
続けて、「ロースクールが舞台のドラマは海外ではよく出てくると思うんですけど、日本では全く描かれていないと思って、目新しさがあるなと感じました」という狙いも。また、「2004年に法科大学院制度が開始されたのですが、当初70校近くあったのが今では半分くらいに減っているんですね。法律家の方が少なくなってしまったら困るのは自分たちであるという思いもあったので、ロースクールが舞台のドラマを作って、法律家を目指すきっかけになってくれたらいいなと」という思いを込めた。
そして2023年から、ロースクール在学中に司法試験を受けることが可能になるというタイミングも重なり、“今”このドラマを制作する意義をつかんだ。
■月9で“司法修習生”が主人公の『ビギナー』との違い
「月9」ではかつて、司法試験合格後の“司法修習生”を主人公にした『ビギナー』(ミムラ主演、03年)を放送している。この作品は『女神の教室』と同様、個性豊かな生徒たちが繰り広げる青春群像劇で、毎回授業で取り上げる“事案”を生徒たちが一緒になって議論していくなど、共通点も多い。
その意識について尋ねると、「『ビギナー』はもちろん見ているんですが、参考にしているということはなくて、出てくる学生たちがどう考えるのかというところを主軸に置くと、見え方も変わってくるだろうなと思いました」と言うように、演出で明確な違いを感じる。それは“事案”の追いかけ方だ。『ビギナー』では課題として出される事案の詳細を、コミカルなイラストや再現VTRを用いて分かりやすく解説するという演出が施されていたが、今作ではそれが一切見られない。
その意図は、「司法試験合格のみを目指している、文字面だけを見ている彼らというのを描くときに、“人を感じていない”ということを表現したかったんです。再現などが入ってくると、彼らはすでに人間というものを感じて物事を語っているという表現になってしまうので、それをやめたかったというのが大前提であります」とのこと。そして、あえて映像で解説しないことで、「見ている方も一緒にイメージしながら、考えながらドラマにのめり込んでいただけるとありがたいなという思いも込めています」と狙いを明かした。