OCによる性能UP&冷却と静音性も優秀
それではこれら2枚のTUFビデオカードを用いて1台組み、パフォーマンスを見てみよう。今回の検証環境は、CPUにCore i5-13600K、マザーボードはIntel Z790チップセットを搭載したATXモデル、メモリはDDR5-4800 16GB×2、SSDはPCI Express 3.0 x4接続で1TBのものとした。
TUF Gaming GeForce RTX 4070 Ti 12GB GDDR6X OC Editionから見ていこう。
まずは3DMark。ここではOCモードとデフォルトモードとともに、GPU Tweak IIIからGeForce RTX 4070 Tiのリファレンスクロックに準じた設定も合わせて計測してみた。グラフのとおり、OCモードはもちろん、デフォルトモードでもOC Mode分のプラスアルファが見られる。
続いてはゲームベンチマーク。Forza Horizon 5を画質設定=エクストリームとし、各解像度でテストしてみた。フレームレートはOCモード>デフォルトモード>リファレンスクロックの順で、OCモードとリファレンスクロックの間では、4Kで3fps、WQHDで7fps、フルHDで10fpsの差が生じた。TUF Gaming GeForce RTX 4070 Ti 12GB GDDR6X OC Editionを選べば、リファレンスクロックのモデルと比べてより快適であると言える。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク。こちらは画質設定を高品質とし、OCモードとリファレンスクロックでどれだけ性能差が出るのか比較してみた。このテストもすべてOCモードのほうが高スコアだった。1,920×1,080ドット時を除けばスコア差はまずまず大きい。
Cyberpunk 2077は、レイトレーシングとAI高画質化のテストとした。OCモードのみとし画質設定をレイトレーシング:ウルトラと、レイトレーシングを用いない通常のウルトラで計測している。レイトレーシング:ウルトラではDLSSが有効となる。興味深いのが4K時で、レイトレーシング:ウルトラはDLSSとの合せ技で60fps超を満たすが、通常のウルトラではこれを下回った。レイトレーシングにDLSSが関わるとこうした逆転現象も起こるので、これを手にされた方はいろいろと自分のプレイ環境に適した設定を探ってみてほしい。
最後に3DMarkのSpeed Way実行中の温度推移を見てみた。OCモードを用い、準ファレンス機能の0dB FanをON/OFFさせ、どれだけ異なるのかを確認したものだ。CPU温度はタイミング合わせのためで、0dB FanのON/OFFにかかわらずほぼ同じグラフを描いている。肝心のGPU温度はクッキリと違いが現れている。まずアイドル時。0dB Fanは50℃が敷居となるため40℃台、0dB Fanがオフの場合は常にファンが回転するためより冷えており30℃前後だった。そしてベンチマークが開始するとGPU温度も上昇するが、0dB Fanは途中55℃を超えるまでファンが回転をはじめないので、60℃超まで一気にあがり、ファンが回転を始めてからゆるやかな上昇になる。一方、0dB Fanオフもベンチマーク開始直後は急な温度上昇があるが、50℃あたりが境目で、そこからゆるやかに上昇が続く形になる。ベンチマークが若干短かった印象もあるが、最大温度も2.6℃ほどの差で0dB Fanオフのほうが低かった。ただし、グラフのとおりGPU温度としてはなんら問題なく、高性能なGPUクーラーであることを示している。
次にTUF Gaming Radeon RX 7900 XT OC Edition 20GB。
まずは3DMark。こちらはRadeon RX 7900 XTのリファレンスクロックを試したかったがうまくいかなかったので、OCモードとデフォルトモードのみとしている。こちらも、すべてのテストでOCモードはデフォルトモードよりも高スコアを出し、Speed Wayを除けばグラフのとおり明確な差が出ている。先のTUF Gaming GeForce RTX 4070 Ti 12GB GDDR6X OC Editionと比べると、レイトレーシングが絡むSpeed WayとPort Royalは若干スコアが低かったものの、ほか3つのテストは上回っている。
続いてForza Horizon 5。実ゲームのフレームレート差は各解像度とも1fps。リファレンスクロックとの比較がないのでフレームレート差は小さく映るが、OCの効果はあるようだ。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークも、OCモードとデフォルトモードの比較をしている。OCモードのほうが高いスコアであることは確実と言える。
Cyberpunk 2077は、レイトレーシングとAI高画質化を見る。Radeonの場合はFSR。3DMarkのとおり、Radeon RX 7900 XTはレイトレーシング性能で言うとGeForce RTX 4070 Tiよりも劣る。ただしレイトレーシング無効であれば本来より高性能なので、ウルトラ設定の場合は60fpsを余裕で超え、なんならDLSSの効くTUF Gaming GeForce RTX 4070 Ti 12GB GDDR6X OC Editionよりも高フレームレートだった。
最後に温度計測。同じテストなのでグラフ形状としては先のTUF Gaming GeForce RTX 4070 Ti 12GB GDDR6X OC Editionの結果とほぼ同じ。0dB Fanオン時のベンチマーク開始直後の温度上昇がやや急であるが、その後の温度上昇はゆるやかだ。GPUが異なるため、GPU自体の温度特性も異なり、より冷えるほうがよりよいとは言い切れないので、あくまでもGPUクーラーの素性を見るデータと捉えていただきたい。こちらのGPUクーラーも、よく冷えるという点は言えるだろう。
タフだからこそ得られるプレイ時の安心感。満足感の高いビデオカード
今回は、2枚のASUSTeK製最新TUFビデオカードを紹介した。ビデオカードはゲーミングの要のパーツだ。もちろんCPUもおろそかにはできないが、フレームレートを決める大きな要因である。一方で、PCケース内の熱源の中でもかなり高温に達するパーツでもある。冷えるGPUクーラーであることも重要だし、そこに用いられるコンデンサが高耐久であれば安心感が高まる。もちろんそうした余裕が静音性にもつながる。
ASUSTeKのビデオカードとしては、ROGが至高であることに変わりはない。ただしTUFもここで紹介したように数々の特徴を備え、肝心の高耐久設計が安心感のあるゲームプレイを約束する。ROGモデルと比べれば価格も魅力的だ。だからこそ今注目されるのである。