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“没・個性”な登場人物たちという点でも、ドラマのセオリーに反している今作。普通のドラマではそれぞれの役に違うキャラクターを付けるが、幼なじみ3人は、「最初に台本を読んだときは、セリフを入れ替えてもどれが誰なのか気づかないくらいでした」というほど。「よく考えると、実際に周りにいる友達って、やっぱり同じ空気感の人が仲良くなるから、似たような3人で一緒になるんですよね」と、やはりリアルを追求している。

だが、ここで制作陣にとって大きな課題となったのが、子役の選定。通常だと多少見た目が違っても、キャラクターを出すことで同じ人物の成長前と認識することができるが、“没・個性”の役にそれは通用しないため、求められる“面影レベル”が一気に上った。

「これはもう升野さんからの挑戦状だと思って、大人の世代をキャスティングした後に、サクラさん、夏帆さん、木南さんに似ているんじゃないかという子役の書類を集めて、実際に会って…というのを、1カ月かけて毎週末、朝から晩までオーディションしました。幼少期のキャストたちは1,200人の中から選んだ、こん身のキャスティングなんです」

その中でも、保育園時代の麻美を演じる永尾柚乃ちゃんは、子どもなのに本当に大人の心を持っているかのような何とも言えない表情を見せ、実に秀逸だった。彼女の決め手は、「あの子だけ、いい意味でキラキラしていなくて、ちょっと哀愁があったんです。本当にすごかったですね」と絶賛した。

  • 小学生時代の仲良し3人組

  • 保育園時代の麻美を演じる永尾柚乃

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■ライバル企業のお菓子が並ぶ…実名のこだわり

リアル感を作り出すもう1つの大きな要素が、実名。許可取りに手間がかかるものの、「ROUND1」「夢庵」といった実在する施設や店の名前が当たり前のように登場するのは、「そういうのが出てくるだけで、私たちとすごく地続きな感じがすると思うんです」という狙いから。もちろん、麻美が3周目で就職した「日本テレビ」もその1つだ。

  • ROUND1

  • 福ちゃん(染谷将太)が着る制服も本物だ

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昨年10月クールにヒットした『silent』(フジテレビ)でも、実在のスポットが登場したことで話題となったが、「升野さんが別作品でもこだわっているところなので、そこは私たちも大事にしたいと思ってやっています」と解説。

圧巻は、麻美の家に夏希と美穂がお菓子を持ち込んでくるシーンで、「こんなに実際のお菓子を出していいんだっけ?って思うくらい出てきます。いろんな会社のものが出てくるので、1個1個『他社さんのお菓子と並ぶのですが…』と許可を取りました」。

麻美の地元である「北熊谷市」も、架空の自治体でありながら実在する埼玉県熊谷市近辺であることを想起させる名称。ロケ地には、東京から車で1時間半くらいの雰囲気、かつ30年前から街並みがあまり変わっていなそうなエリアを選んだ。