■犬飼貴丈からツッコミ「堀ちゃんはそんなこと言わない」

――オープニングではキャストの皆さんがダンスを披露していますが、裏話があったら教えてください。

犬飼さんのダンスを撮り直してほしいです!(笑)片足に体重を乗せて4カウント動く振り付けがあるのですが、膝が内側に入りすぎちゃっているところが気になっていて。つい「社長の足の長さが活かせていない!」と桃井さん目線になってしまいます。犬飼さんには「結構下手っぴですね(笑)」とズバッとお伝えしたのですが、同期の堀(未央奈)と共演したことのある犬飼さんには「堀ちゃんはそんなこと言わないのに、怖い!」と言われてしまいました(笑)。私は乃木坂46では“ダンス下手組”でしたが、「たとえ下手でもいかに堂々とやれるか」でカバーできていたので!

――北野さんは「堂々と踊る」ことを大事にされていたんですね。ではもし今回のダンスが乃木坂46のオーディションだったとしたら、犬飼さんは……?

いや、でもそこは受かっていると思います!

――(笑)。北野さんはすぐ覚えられましたか。

私は動画が送られてきた当日に覚えたのですが、3日後に送られてきた割り振りを見たらほとんど自分のパートのダンスがなくて!(笑)でもスタッフさんも後出しで申し訳ないと思ったのか「北野さんは一応全部覚えてください」と言ってくれて、分かりやすい気遣いが好きでした(笑)。

■“一生懸命な思いやり”が世界平和につながる

――今作には、怒りを抑える方法や嫉妬心の矛先の変え方など、学びになる要素がたくさん盛り込まれています。乃木坂46という大きな組織にいた北野さんが、チームワークに悩んでいる方にアドバイスするとしたら。

グループ活動にかかわらずですが、皆1人ひとりが価値観の違う人間だから理解し合えないことがあるのは当たり前。だからこそ人と接するときには“一生懸命な思いやり”が必要だと思っています。地球上に存在している限り、誰もが人と接しなければ生きていけないので、たくさんの思いやりがあれば世界平和も夢じゃないなと!

■休業期間がコンプレックスになったことも

――素敵な夢ですね! また、桃井さんは佐京さんから今の会社に誘われたときのことを大切な思い出として胸に刻んでいるという回想シーンがありましたが、北野さんがこれまでかけられた忘れられない言葉はありますか。

乃木坂46時代にお世話になった舞台の演出家さんの「過去は変えられないけど、過去の持つ意味は変えられる」という言葉にとても励まされました。私は休業していた過去があり「あの時間がなければもっと……」とコンプレックスになってました。でもこの言葉に出会って、大事なのは過去に起きたことをいかに未来につなげられるかだと考え方を変えることができて、「あの時間があったから今がある」「その過去も含めて自分だ」と思えるようになりました。演出家さんにかけて頂いた言葉なのですが、自分の言葉かのように口にして周りに布教しています(笑)。

■不安と戦いながら自分らしく

――3月からは「劇団鹿殺し」の丸尾丸一郎さんが脚本・演出を務める舞台『ダリとガラ』に出演されますが、意気込みは。

丸尾さんが演出を担当された乃木坂46の『墓場、女子高生』という舞台を見に行ったことがあるのですが、とても惹きつけられる作品でした。当時メンバーの姿をそばで見ていて、苦戦しながらも頑張れるような言葉をかけてくださる演出家さんだろうなと感じたことを覚えています。今回の舞台は実力派の役者さんがたくさんいらっしゃって不安ですが……そこをすっ飛ばして4月になってほしいくらい怖いのですが(笑)、公演が終わったときにはまた新しい自分に出会えると信じて、未来に繋がる経験になるよう頑張りたいです。

――『ひともんちゃくなら喜んで!』で桃井さんを演じると決まったときにも「不安」と仰っていましたが、新しいお仕事には不安がつきものですか。

家族にいつも「お腹痛い」「体調が悪い」と泣きつきながら何とかやってきているのですが、私はめちゃくちゃ心配性で、最悪のケースを考えて行動してしまう癖があって、それがまた自分の不安を掻き立てる要素になっています。でもそれくらい慎重でいればミスを最小限に抑えられはずなので、不安と戦いながらも自分らしく頑張っていかなきゃと思っています。

■戦う社会人の活力になれば

――では最後に『ひともんちゃくなら喜んで!』桃井さんの注目ポイントを教えてください。

嫉妬で暴走してしまう桃井さんの気持ちは、すごく共感できる方とできない方で分かれると思いますが、このドラマでは人見さんがそのマインドや活かし方をしっかりと言葉で解説してくれるので、どんな人にも理解できる構成になっています。私は第2話をリアルタイムで見ながらTwitterで感想を読んでいたのですが、このドラマで扱っている問題って世の中で山ほど起きているんだと感じたので、生きづらさを感じている方……、私はマウント四天王の1人を演じているので生きづらさを感じさせている側の役どころですが(笑)、社会で起きている問題の解決方法を提示しているドラマなので、色々なところで戦っている社会人の方に見て頂き、また明日を頑張る活力にしてもらえたらうれしいです。

■北野日奈子
1996年7月17日生まれ、千葉県出身。2013年より乃木坂46として活動し、2022年4月30日に同グループを卒業。主な出演作にドラマ『初森ベマーズ』(15年)、『少年のアビス』(22年)、舞台『じょしらく』シリーズ(15年〜16年)、『あさひなぐ』(17年)、『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』(22年)など。2023年はドラマ『とりあえずカンパイしませんか?』(3月1日スタート 毎週水曜25:00~)、舞台『OFFICE SHIKA PRODUCE「ダリとガラ」』(3月2日〜12日東京・座・高円寺、3月24日〜26日大阪・ABCホール)に出演する。