打ち合わせ開始から導入までの期間は?
そういった経緯で、物流現場向けロボットのt-Sortによる自動化ソリューションを提供するプラスオートメーションとの打ち合わせを開始した山善。両社の打ち合わせの中では、ロボットが担う業務に加えて、ロボットが稼働可能なスペースの確認などが行われたという。t-Sortによるソリューションの特徴として、可動範囲がカスタマイズしやすいことがあり、「スペースや形の組み合わせが自由で、我々が提示した範囲の中でプラスオートメーションから最適な提案をしてくれて、スムーズな稼働開始に至りました」と話す。
また、山善の担当者が語るように「稼働開始までのスムーズさ」という点もt-Sortによる自動化の強みだといい、実際、ロジス関東での自動化に向けた工事の開始から本稼働までは1週間程度だったそう。これについては担当者も「想定以上の早さでした」と語った。
その要因の1つには、t-Sortの稼働がシステムに干渉しない点を挙げる。ロボットを制御するPCに作業用データであるCSVファイルを取り込むことで稼働するため、社内システムとの連携や新たなシステム構築が不要で、導入工数の削減を実現できたとする。
「トータルピッキング方式」への転換
山善は打ち合わせを経て、50個の仕分け箱が設置された長方形の仕分け場をロジス関東に構築し、24台のt-Sortを稼働させるに至った。
仕分け場は路面が塩ビシートに覆われており、その中にはタグが埋め込まれている。t-Sortはその上を自走して、長方形両端にある商品投入口と各仕分け箱を行き来するという。また、仕分け場内には充電用ステーションも設置されており、ロボット自体が自動充電を行うため、24時間稼働できる。
今回の導入では、仕分け方式が従来の「シングルピッキング方式」から「トータルピッキング方式」へと変更された。ちなみに前者は、配送先の店舗それぞれに必要な数の商品を個別にピッキングする方式であるのに対し、後者は配送先全体で必要な量の商品を倉庫からピッキングした後に、各配送先へと必要量を振り分けるものだ。
ロジス関東の場合では、ロボットへの商品積載を行う投入口を仕分け場の両端に設置。スキャナで商品のJANコードを読み込んでからt-Sortの荷台に置くことで、自動で適切な配送先の仕分け箱に振り分けるという。そして、各配送先への仕分け状況はデータで管理されており、必要な商品の運搬が終わった仕分け箱から梱包に移ることができるのだ。