嵐の松本潤が主人公・徳川家康を演じる大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)の第1回「どうする桶狭間」が8日に放送された。サブタイトル通り、今川軍と織田軍による「桶狭間の戦い」が描かれ、野村萬斎演じる今川義元が討ち死にした。初回にして最期を迎えることになり、萬斎自身も脚本を読んだときに驚いたという。萬斎にインタビューし、率直な心境や渾身の舞のシーンに込めた思いなど話を聞いた。

  • 『どうする家康』今川義元役の野村萬斎

大河ドラマ第62作となる本作は、江戸幕府を開いた徳川家康の生涯を新たな視点で描く物語。主人公・徳川家康を松本潤が演じ、脚本を古沢良太氏が手がける。

萬斎が演じる今川義元は、公家文化にも精通する教養人、政治家で、仁徳による民のための王道政治を掲げる理想主義者。人質として預かった聡明な家康(松本)に幅広い教養を身につけさせ、家康が父のように心から尊敬する人物だ。

萬斎は、義元について「家康の幕府開設に影響を与えた人物と捉えて演じました。彼に身をもって何かを授ける役だと思っています」と述べ、「キーワードは『王道と説く』。覇道と王道の違いを語るシーンも1話に出てきます。カリスマでもありながら、人格者という面で、尊敬を持たれねばいかんと、厳格な人物として演じることを心がけました」と語った。

第1回「どうする桶狭間」は、家康の10代前半から描かれた。尊敬する義元のもとで人質ながらも楽しい生活を送っていた元康(のちの家康)は、瀬名(有村架純)と出会い、結婚して子供にも恵まれて幸せな日々を過ごしていたが、「桶狭間の戦い」が勃発。元康も重要なミッションを任され、命からがら任務を果たすも、義元が討ち死にしたという知らせが飛び込みパニックに。最後には、力強い表情で馬を走らせる織田信長(岡田准一)も登場し、短いシーンながらも圧倒的な強さを感じさせた。

萬斎は「義元があっという間にいなくなり、私もひっくり返りそうになりました。『これでおしまい!?』って」と笑い、「見終わった人たちも『えっもう死んだ!? もう退場!? 早い!』とおっしゃる気がしています」と視聴者の反応を予想した。

討ち死にするシーンは描かれず、元康らに訃報が届けられるという形で死が明らかに。「今までの大河の今川義元は、(中村)勘三郎さんの死に際がすごかったですが、今回は想像力にお任せするという、みんなが『ウソだろ!?』と信じなかったり、どれだけショックが大きいのかというところで見せていく描き方で、納得しています」

出陣の場面では、義元が舞うシーンが登場。圧巻の存在感を放ったが、「野村萬斎の底力だと思っていただきたい」と、自身にとっても思い入れの強いシーンとなった。

「舞のシーンは、能楽に引き寄せた謡と舞にしました。みんなの士気を高めることでもあるし、我々には神のようなバックボーンがついているんだという、一つの理想郷を感じるシーンになっているといいなと。結局それがどういう影響を与えるかということから逆算して、みんなの士気が上がるような大きさとスケール感を出すことを試みましたし、私ならではの、野村萬斎でないとできないジャンルかなと思います」