• 松本祐紀チーフプロデューサー(左)

昨今はコンプライアンス遵守が叫ばれ、BPO青少年委員会が「痛みを伴うことを笑いの対象とするバラエティー」について見解を出すなど、体を張った笑いに対する見方が厳しくなっている風潮がある。そうした中で、どのようなスタンスで制作に臨んでいるのか。

「これは本当に難しいところなのですが、いきなりイタズラを食らうのではなく、例えば4つの箱のうちどれかにイタズラが詰まっていて、本人たちに選ぶ権利があり、そこでミスをすると何かしらを食らうという形にすることで、ギリギリセーフなのではないかと思っています」

また、BPOの見解を詳しく見ると、“他人の心身の痛みを嘲笑する”ことに対して懸念を示していることから、プレイヤー同士でイタズラを食らい合うことで、その構図を避けることを担保。「制作側から仕掛けることにプラスアルファして、“身代わりチケット”(=自分がイタズラの対象になった際、別の人に押しつけることができるアイテム)で4人がお互いに仕掛けるとか、誰かが誰かを陥れるといった感じも見ていただけると思います」と強調した。

総合演出の池田氏は、“自分の子どもが笑うかどうか”を一番のフィルターにしてイタズラを考えているといい、松本CPは「大玉を食らって『かわいそう』という方もいると思いますが、あれを見て笑う人が多いということは、やっぱりそこで成立しているんだろうと思います」と考えを披露。

その上で、「かまいたちさんとチョコプラさんのリアクション芸を見る番組でもあるから、嫌なリアクションができる程度のイタズラにしないと笑いが降ってこないので、制作側と演者側の“対決”でもあるんです。でも、本当に嫌すぎることをやらせるとイジメっぽくなってしまうので、そこのラインギリギリを攻めることが一番大事なところだと思っています」と意識を述べた。

  • (C)フジテレビ

■『もしツア』後枠も「ほのぼの感は忘れました」

レギュラー枠の前番組は、週末の旅情報をしっかり盛り込んだ『もしもツアーズ』が放送されていただけに、「最初にレギュラー化の話が来たときに、やっぱり視聴習慣も考えて、情報みたいなものも入れたほうがいいかなと、少し思ったんです」という。しかし、編成などから「そんなことは求めないから、思い切り(笑いで)やってくれ」と言われ、「そのひと言で“ほのぼの感”を出そうという考えは忘れました(笑)」と割り切った。

「水族館でカワウソとじゃれ合ってるところもいいと思うんですけど、この番組に関して言うと『早くイタズラ来い』と思うじゃないですか(笑)。そういうリラックスする時間も大事なので作っていますけど、それはイタズラへの“振り”ですから」と、“笑いファースト”を貫いている。

それを踏まえ、今回のスペシャルについては、「番組史上最大規模の“逆バンジー”が出てきます。それと大玉に1つとんでもない仕掛けをしましたので、ぜひ楽しみにしていただければ」と予告。

ゲストには、MC業がメインで体を張る機会の少なくなったフットボールアワー・後藤輝基が登場しており、「こういうのを受けない人が食らってるのはやっぱり面白いので、みんなうれしそうでした(笑)。4人からすると大先輩ですが、このフィールドに来たからには同等という感じだったので、普段のスタジオトークの先輩後輩とは違うところが出ると思います」と、見どころを語っている。

●松本祐紀
2022年に『ワンナイR&R』のADを担当。その後『クイズ!ヘキサゴンII』『はねるのトびら』などのディレクターを経て、『人志松本のすべらない話』『さまぁ~ずの神ギ問』などのプロデューサーを務める。

  • 1月7日放送の『イタズラジャーニー新春2時間SP』より (C)フジテレビ