■主演の経験が役者として1つ上のステージに

――ドラマ発表時のコメントでは「監督やスタッフ、お客さんを驚かすという意味ではとても精神が似ている」と自身とかりあげクンの共通点を挙げていましたが、具体的に教えてください。

かりあげクンが、他人が想像できないイタズラをするように、役者もまた監督やスタッフさんが予想できないお芝居をアウトプットし続けなきゃいけないので、重なる部分があります。かりあげクンの姿は勉強になりました。

――戸塚さんは、役者として「意表を突くお芝居をしよう」という思いが高いモチベーションになっているんでしょうか。

そんなことばっかり考えています(笑)。敢えて表現を変えてみようという挑戦を大事にしていますね。

――その考えを持つきっかけになった方はいますか。

ジム・キャリーです。本当にずっと大好きで。『エース・ベンチュラ』という映画があるのですが、もうめちゃくちゃなことをしているんですよ。共演者のリアクションもどこか違和感があるので「これ絶対台本通りにやっていないな」という。でもそれがOKになって映画として届けられているわけで、役者として憧れます。

――ジム・キャリーに影響を受けているなと自身で感じることはありますか。

ちょっと天邪鬼なところがあって、「こうして」と言われたことと違うことをやりたくなるんです。言うことを聞きたくないというか……いや、言葉にするとなんだかめんどくさいヤツですね(笑)。でも違うことをしてみたくなっちゃう。役者というお仕事以前に、もともとの性格がこうなんです。昔から、人の驚いた姿を見て楽しくなっているタイプでした。

――主演だと、そういったお芝居に挑戦しやすいのでは。

今回は特に、キャスト、監督、スタッフ、皆が自由にアイデアを出し合える現場だったと思います。

――主演としてそんな現場を作る側の立場でもあったと思うのですが。

うまくいかないことももちろんあって、それも含めてすごく勉強になりました。「現場を自分で作っていく」という環境に置かれたときにどうすればいいかという経験は、普段お芝居をするだけではないもう1つ上のステージに進んだ感覚がありました。

■2023年の目標は「役者として健康的に作品に臨む」

――では最後に、戸塚さん自身についてお伺いします。2021年末のインスタグラムでは「自分なりに悔いのない日々を過ごした2021年」と綴られていましたが、2022年も悔いのない1年になりましたか。

おぉ……もう年末なんですか、この質問が来るということは(笑)。あっと言う間ですよね!(※取材は11月中旬)

――そうなんです。さらに、昨年のインタビュー記事の中で「2022年の目標は文句を言わない」「マネージャーさんへの文句が多いため」と掲げているのも拝読したのですが。

今年も多かったよね?(マネージャーを見て笑う)文句ばっかり言ってますよ、僕!(笑)

――“未達成”ということでよろしいでしょうか。

未達成だな!(笑)確かに、僕そんなことを言っていましたね……2022年は「反省の年」「有言実行ならずの年」にしておこうかな(笑)。

――では最後に役者として、2022年の締めくくりと2023年の目標をお願いします。

2022年は舞台にも出演させていただきました。舞台に上がると常に見られているので、休憩できないしごまかしが利かないということをすごく感じて。有り難いことに出演作品が重なった年だったので、何作品も同時進行していると、「時間があればもうちょっとできたのに」という思いがどうしても出てくるんですよね。でもそれって作品に対して紳士的じゃないし、不健康。だから2023年は、時間や環境を言い訳にせず、作品に対して妥協しない、役者として健康的に作品に臨むことを目標にします。「文句を言わない」という目標は言いません! 文句は言っていきます!(笑)

■戸塚純貴
1992年7月22日生まれ、岩手県盛岡市出身。2010年「第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で「理想の恋人賞」を受賞し、2011年、ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』で俳優デビュー。2012年9月には特撮ドラマ『仮面ライダーウィザード』に出演した。近年の出演作にドラマ『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』、『純喫茶に恋をして』、『教場II』、『遺留捜査』、『恋です! ~ヤンキー君と白杖ガール~』、『ユーチューバーに娘はやらん!』、『恋なんて、本気でやってどうするの?』、舞台『VAMP SHOW ヴァンプショウ』など。2023年は、1月6日放送のテレビ東京系ドラマ『ホリデイ~江戸の休日~』、1月14日放送のフジテレビ系ドラマ『イチケイのカラス スペシャル』に出演する。