現在24歳の山口選手。現役選手としてさらなる飛躍を目指すなか、引退後のセカンドキャリアについて考えることはあるのだろうか。「具体的なことはまだ何も分かりませんが、考えたことはあります」と語り、こうした活動をすることで自身のプレー自体にも大きな変化があったという。
「他の業界で成功している方の話を聞いたり、地元の少年サッカーチームでプレーをしたりすることで、自分に返ってくることが非常に多いのです。それは確実にピッチの上でもよい影響を与えてくれています。いまは現役サッカー選手なので、いろいろな経験をすることで、プレーの質を上げるということに結びつくことが重要なのですが、それが結果的にセカンドキャリアに……という相乗効果があればいいなと思っています」
中川氏も「数値化してどれだけプレーに結びついているかというのを可視化するのは難しいですが」と前置きしつつも「必ずパフォーマンスの向上につながると確信しています」と述べると、山口選手は「僕も実感があります。僕だけではなくピッチに立っているメンバーも、きっかけはそれぞれ違うと思いますが、きっと力になっていると思います」と語った。
具体的な例で言うと、地域の小学校に行って交流をした際、山口選手は子供たちから「ワールドカップに出てね」「応援しているので試合頑張ってね」と声を掛けられたという。「その時のことはすごく心に残っていますし、声を掛けてもらい、子供たちのためにも絶対頑張ろうと大きなモチベーションになっています」
中川氏も「他者の思いを背負うというのは、非常に力になります。例えばワールドカップで戦っている選手、スタッフは、皆日本の方々の思いを背負っている。地域の小学校に行って、子供たちと触れ合って感じたことを背負ってピッチに立つのと、そういう経験がない人とでは、大きな違いがあると思います」と効果の高さをあげる。
■「人間力を上げてプレーの質も高めたい」 2023年の目標はJ1昇格
今後もこうした人材育成のプログラムを積極的に受けていこうと思っていると話す山口選手。セカンドキャリアを考えることは、まだ先のことだが「漠然とですが考えるきっかけになっています」と答える。
いまの目標は「来シーズン、水戸ホーリーホックでJ1に行きたい」と強い視線で語った山口選手。さらには「サッカー選手としてはもちろんですが、オフザピッチでも人間的に成長したい。人間力を上げてプレーの質も高めたい」と未来に思いを馳せる。
ルイ・ヴィトンでのインターンの経験によって、視野も大きく広がった。モデル並みのルックスやスタイルを持つ山口選手にファッション業界への興味を聞くと「全然詳しくないので」と照れくさそうに語るが「この経験もどこかに活きてくると思います」と笑顔を見せる。
そんな山口選手の言動に目を細める中川氏は「彼は人間性がとてもしっかりしていて、どこに行っても間違いないだけの資質を持っている人物」と絶賛すると「多角度的な視点、取り組みによる自己認知やメタ認知、あとは客観的に自分を見る力など総合的に力をつけることで、彼の成長、さらにはスポーツ全体が社会に及ぼす効果などにまで発展していってくれると思います」と大きな期待を寄せていた。