AMD CPU(Photo04)

  • Photo04: 先ほどの写真から4日後。あの後病院で腎臓数値が極端に悪い事が発覚。駆虫薬が急に腎臓に負担を掛けた結果として死にかかっていたことが判明し、輸液などで大分復活した直後。この頃から腎臓のサプリ([AminAvast](https://aminavast.com))が手放せなくなる。兄ちゃんズに混じって猫草に群がってるが、いまいち猫草を食べるものと認識していない(翌日には猫草をちぎって遊んでいた)。

Zen 4ベースのRaphaelは無事にRyzen 7000シリーズとして発売。そのZen 4ダイを実装したGenoaもEPYC 9004シリーズとして発売され、ここまでAMDのProcessor Roadmapは正しく実現されている。さて、問題はこの先である。

まずRyzen 7000シリーズであるが、恐らくこれもIntelとさして間を置かずに、第1四半期中にXの付かないモデル(TDP 65W)が複数投入される見込みだ。ここにはRyzen 3も含まれると見られる(本当かどうかは不明だがRyzen 3 7300Xという型番らしい)。あと、10コア製品がRyzen 7 7800Xとして投入されるという噂があるが、筆者の個人的な見解としてはちょっと考えにくい感じだ。ただまぁRyzen 7 7700XとRyzen 9 7900Xの間にちょっと性能のギャップがあるのも事実である。

ここからはもう少し先の話を。Photo05はAMDが2022年6月に示したCPU Core Roadmapである。現在のRyzen 7000シリーズはTSMCのN5であるが、この後GPU統合というか、Mobile向けのコアとしてDragon Range及びPhoenixが、どちらも恐らくRyzen 7000Gシリーズとして投入される。時期は正確には不明だが、恐らくは2023年後半である。というのは現行のAlder Lake-Pとか(間もなく登場するであろう)Raptor Lake-Pは、既存のRyzen 6000Gシリーズで十分競合できると判断しているだろうからだ。Ryzen 7000GシリーズはMeteor Lakeが仮想敵と考えられる。構成的にはZen 4コア+RDNA 3という構成。未知数なのはInfinity Cacheをどう搭載するかで、あるいはChiplet構成を取るかもしれない。このDragon RangeはTSMC N4という事になると思われる(N4Pの可能性もあるが、このあたりははっきりしない)。

  • Photo05: 2022年のFinancial Analyst DayでCTOのMark Papermaster氏のスライドより。

なおDragon RangeとPhoenixの違いであるが、Dragon RangeはGaming Laptop向けでTDPが55W以上、Phoenixは厚さ20mm以下のThin & Light Notebook向けでTDPが35~45Wとされる。この結果、Dragon Rangeは例えばメモリはDDR5とLPDDR5の両対応になるようで、CPUコア数も12以上(つまりRyzen 9対応)なのに対し、PhoenixはメモリがLPDDR5のみで、CPUコア数も8以下に抑えられる。このため両コアは構成的には似てはいるものの、別のダイになると見られる。

またRyzen Threadripper 7000シリーズも恐らく2023年後半に投入されるが、こちらはRaphael/Genoa同様にTSMC N5で製造したコアそのままであろう。またZen 4c、つまりBergamoベースのサーバー向け製品だが、こちらも製造そのものはTSMC N5のままと想像される。加えて、Ryzen及びEPYCには、2023年の後半(第4四半期あたり?)には、3D V-Cacheを搭載したモデルが追加される事になると思われる。ただこの3D V-Cacheに関して言えば、Ryzen 9ではなくRyzen 5/7向けという事になりそうだ。理由はこのメインストリーム向けが今一つ、という事にあるようだ。このところAMDはトータルとしての業績は上向きであるが、クライアント向けではちょっとIntelに再び押される傾向が強まっており、この打開策として3D V-Cacheモデルを投入したいという事らしい。この3D V-CacheはRyzen 7 5800X3Dの時と同じようにN5プロセスで製造されるのか、それともコストを下げるためにN6プロセスで製造されるのかは不明だが、Radeon RX 7000シリーズの様な水平方向の接続ではなく、ダイの上に直接積層する3D Stacking構成なので、機械的な親和性などを考えるとN5プロセスで製造する公算が高そうである(そもそもL3をまだMonolithicの形で実装していれば、という前提ではあるが)。ただRyzenはともかくEPYCでL3をChipletの形にすると、猛烈に実装が大変になる(Genoa世代ですらCCD×12な訳で、これでL3をChipletにしたらCCD×12+L3×12になり、更にIODとの接続もあるので、配線が多くなりすぎる)から、筆者はCPUに関してはL3もMonolithicのままであると想像する。

次がその先の世代の話である。先にProcessの所で書いたように、TSMCのN3はあまり素性が良くない事もあって、クライアントがみんなN3Eに乗り換えている。これはAMDも同じで、当初Zen 5はN3をターゲットに開発されていたが、これをN3Eまで待つことにすると、現実問題として市場投入が半年以上遅れてしまう。そこで最初のZen 5コアを採用するRyzen 8000シリーズ向けのGranite Ridge、それとEPYC 9005シリーズ向けのTurinについては、TSMCのN4Pを使う事になるようだ。N3EはRyzen 8000G向けのStrix Pointで初採用という事になると思われる。時期的に言えばGranite RidgeとTurinが2023年第4四半期、Strix Pointは2024年に入ってからということになるだろう。ただ幸いな事にもIntelはこの時期にまだIntel 7+ベースのRaptor Lake Refreshを投入する関係で、TSMC N4Pならば十分に競争力がある。Desktop/ServerのTSMC N3Eへの移行は2024年に入ってから、という事になりそうだ。

さて、この辺りまでは比較的判るAMDのロードマップだが、今一つ判らないのがバリュー向け。エントリノートブック及びChromebook向けである。2022年の段階でAPUはほぼラインナップから消え、代わりにAMD Ryzen 5000C/3000Cシリーズが投入されているが、ここに向けて2023年にRyzen 7000Cシリーズが投入されるかどうか、現状でははっきりしない。正直スペック的に言えば7nm世代のRyzen 5000Cシリーズのままで十分、という気もしなくもないのだが、ここはまだ不明なままとさせていただく。