渡辺一貴監督をはじめ、スタッフはこれまで通りのメンバーがそろった。高橋にとっては最も頼れる布陣だ。

「時間は空いているのですが、撮影に行くといつものスタッフの方々がいるので、あまり“久しぶり”という感覚はないですね。“おはようございます”といつものような感じで入っていけた気がします。演じていても、作品の最初のお客さんが一貴さんであり、(制作統括の)土橋(圭介)さんであり、(人物デザイン監修の)柘植(伊佐夫)さんであり、(撮影の)山本(周平)さんであり、その他のスタッフの皆さんである、という思いがあります。できればどの現場でもこのメンバーがいて、リアクションをしてくれたら本当にうれしい。マスク越しで表情が分からなくなっているなかでも『土橋さんが笑っている』とか『柘植さんがワクワクしているな』とか『一貴さんのオッケーという声が高揚しているな』というのを感じられることはとても刺激的です」

作品に携わるすべての人間が、作品を心から愛し、こだわりを持って取り組む現場。「作品をずっと残していく」という熱い気持ちは、消費サイクルが早くなってしまった“モノ作り”にとって生命線となる。

「誤解を恐れずに言うと、お客さんのことを気にしすぎて失敗してしまった作品はたくさんあると思っているんです。具体的に言うと、SNSを気にしたり、“いいね”を気にしたり。もちろん広い視野を持つ大切さも分かりますが、やはり自分たちが良いと思うものを作るべきだと思います。人によっては“内輪受けでしょ”と言われるかもしれませんが、作品を愛して、誰よりも厳しい目を持っているスタッフが作ったものだったら、それが多くの人に届いていくんじゃないかと。決して妥協しないし、ダメなところはダメという。そんな現場でやれることは本当に幸せなことです」

■高橋一生
1980年12月9日生まれ、東京都出身。ドラマ、映画、舞台など幅広く活躍。近年の主な出演作は、映画『ロマンスドール』(20)、『スパイの妻』(20)、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(21)、『シン・ウルトラマン』(22 ※声の出演)、ドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズ、『天国と地獄~サイコな2人~』(21)、『恋せぬふたり』(22)、『雪国-SNOW COUNTRY-』(22)、『インビジブル』(22)など。2023年1月14日スタートの土曜ナイトドラマ『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』(テレビ朝日系)に主演する。

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