この時点でのトップ3は、1位:さや香、2位:ロングコートダディ、3位:男性ブランコ。そんな中、最後にステージに立った10番手のウエストランドが、今大会最大のドラマを生み出す。
決勝は2年ぶり、前回は9位に終わった2人が、井口浩之の武器である“毒舌”にさらに磨きをかけて臨んだ今年。“あるなしクイズ”をきっかけに、井口が恋愛映画やYouTuberなどに毒を吐きまくる漫才はどこか痛快で、松本は「(前回より)進化してる」、塙は「4分があっという間に終わったと感じた」とコメントするなど審査員も惹きつけられた様子。3位の男性ブランコを抜く659点を叩きだし、優勝を懸けた最後の戦いに駒を進めた。
こうして迎えた最終決戦は、パワフルなかけ合いが持ち味の“王道漫才”のさや香、ユーモラスな動きや表情を駆使した“コント漫才”のロングコートダディ、絶妙なワードチョイスであらゆるものをぶった切る“毒舌漫才”のウエストランドと、全くスタイルの異なる3組が激突。ウエストランドはアイドルやお笑い芸人、さらには『M-1』までディスりまくる“炎上上等”の毒舌をさく裂させ、審査員投票で7票中6票を獲得して見事優勝した。
総評で松本は「窮屈な時代ですが、キャラクターとテクニックがあればこんな毒舌漫才も受け入れられるんだと夢を感じました」と新王者を称えた。当の井口は、優勝発表の瞬間から泣きっぱなしの相方・河本太にさっそく毒をお見舞い。実はファーストラウンドで河本がネタをひとつ飛ばしていたことに言及し、「あんなにセリフも少ないのにネタ飛ばしたヤツが、こんなに大号泣してるのが一番腹立つ(笑)」と、すかさずディスって笑いを誘う毒舌芸人の矜持に頼もしさを感じた。